おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「NFT Pocket」についてリサーチしました。
«目次»
1、NFT Pocket とは?
- NFTプロジェクトの課題解決
- 利用料金(マネタイズ)
- 二次流通
- 秘密鍵の管理
2、展望を勝手に予測!
NFT Pocket とは?
「NFT Pocket」は、LINEでNFTや暗号資産の管理・閲覧ができるサービスです。
以下、NFT Pocketができることです。
NFTや暗号資産の管理や閲覧(ウォレット)
NFTのクレジットカード決済
に対応しており、MetaMask等のウォレット制作の手間も、暗号資産の購入や送金の手間もなく、NFTをLINE上でクレジットカードで購入することが可能になります。
■NFTプロジェクトの課題解決
また、NFTプロジェクトのマーケティングに関して大きく2つの課題が存在します。
一つ目が上記でも解説した「ウォレットや暗号資産のハードルが高くマスへ届けられない」問題で、もう一つが「そもそも自社のNFT情報を知ってもらえない(認知度が低い)」問題です。
NFT Pocketが一つ目の問題解決になるのは上述した通りですが、実は2つ目の「認知度が低い」問題も解決します。
その機能がこちらです。
つまり、こういうイメージです。
ユーザーはNFT PocketのLINEアカウントへ登録して利用(NFT購入や管理)。
NFT Pocketを利用するプロジェクトが増えれば、シンプルにNFT Pocket自体のLINE友達が増えていく。
そのLINE友達に通知メッセージを送ることで、認知度向上にも寄与しますよ!
僕自身もLINE上でサービスを作ったことがあるのですが、LINEアカウントで友達登録してもらうと意外に多くの情報が閲覧でき、ターゲティングしたメッセージ送信もできます。且つ、日常使いしているLINEなので開封率が異常に高いです。
NFTプロジェクトからすればこの機能は非常にありがたい機能だなと思いました。
■利用料金(マネタイズ)
サービス自体の導入やユーザーの利用は無料で活用できるとのことでした。ただ、NFT Pocket内のプレスリリース(認知度向上のためにLINEの友達に自社情報をメッセージしてもらう)が有料とのことです。
気になる事業者やプロジェクトオーナーの方は問い合わせしてみてください!
■二次流通
NFT Pocketで購入したNFTは二次流通(例えばOpenSeaへ出品)することが可能です。その際は手数料として暗号資産が必要とのことです。
■秘密鍵の管理
具体的な技術の詳細は公開されていませんが、通常のウォレット通りユーザーが秘密鍵の漏洩に気を付ける形のようです。また、LINE上にデータを保存しているわけではないとのことです。
シンプルにコントラクトウォレットが作れるサービスをLINE上に構築したようなイメージでしょうか?
いずれにせよファウンダーの方のTwitterを見ると、ほぼ全てのコメントにリプライしていたり、回答しているので気になることがあれば、TwitterかHPからお問い合わせしてみると良いかもしれません。
少しリサーチから話題が逸れますが、毎日リサーチをする中で、ファウンダー自らがTwitterですぐに反応しまくるプロジェクト、めちゃくちゃ信頼できるなと感じてます。どこを調べてもファウンダーの情報がなかったり、情報発信がないと、ユーザーとしては不安になります。
正直、スタートアップのサービスはどこかで何かの欠陥(システム上の不具合とかじゃなくてもミニマムで出したので足りてない機能など)が存在します。ただ、真摯に回答し続けてくれるファウンダーのプロダクトは、いずれ解消されるだろうという未来への安心につながります。
コミュニティが大切なweb3のプロダクトにとって、この未来の安心を作る活動は必須だと思っており、その活動の中で最も費用対効果が高いものがTwitterを鬼エゴサしてリプを全て返すな気がしてます。
僕はリサーチする時、ファウンダーや公式のTwitterでの発信から、ハッシュタグやサービス名でTwitter検索して評判までできる限り全部見るようにしてるので、その観点からプロジェクトを考察する目線が身につきました、、。
話は逸れましたが、機能はもちろんのこと、Twitterの反応をみても、NFT Pocket、とても楽しみなサービスだと感じました!
展望を勝手に予測!
では、ここからはリサーチした感想を書いていきます。以前にSlashのリサーチでもやりましたが、NFT Pocketの狙いや展望を勝手に予測してみようと思います。
※僕自身はファウンダーの方と繋がりはありませんし、HPやTwitterでの情報からの予測となります。趣味です。
まず、このサービスめちゃくちゃ面白いなと感じています。
何が面白いのかというと「完全にマスアダプションを狙ったマネタイズである点」です。
サービス利用は無料
ユーザーが集まってきた後の広告が有料
このモデルってめちゃくちゃスタートアップっぽいです。FacebookやTwitterなどのSNSと同じですよね。
そして、うまくできているのが「ウォレット機能を持ったサービスに広告をつけている点」です。
まずサービス利用が簡単
LINE上でワンタップでウォレットの作成ができる
クレカでNFTを購入できる
友達にNFTを送る時にもLINE登録して貰えばすぐにウォレットができて送付も簡単
しかも無料で利用できる
LINEで簡単に、しかも無料で使えるので多くのユースケースが考えられます
結果的にユーザー数が増えてLINEの友達数が増えます
そして、ユーザーに広告(ターゲティングしてNFT情報を送る)を送りますが、通常のLINEアカウントで広告を送った際の最大のリスクは「ブロックされる」ことですが、おそらくNFT Pocketはそのリスクが限りなく低いです。
なぜなら、そのLINEアカウントには自分が購入または貰ったNFTが保管されているからです。
しかも、普通にLINEに登録されている情報からのターゲティングと、ウォレット内のNFTによるトークングラフのマーケティングの両方が可能ですし、クレカ登録されているウォレットにNFTの情報が届くってことはワンタップでその場で購入できるわけです。
おそらく、
LINEデータ&ウォレット情報で精密なターゲティングが可能で
ウォレットアカウントのためブロックされず
LINEアカウントなので開封率も高く
クレカ登録されていてワンタップで買えるので成約率(購入率)も高い
そういう広告方法が爆誕します。
すごい!日本人向けにNFT売るなら確実にマーケティングの候補に入る選択肢になりますね。
そして、このサービスがワークするには大きく2つの障壁が存在すると思ってます。
分母となるユーザー数
嫌悪されない広告の見せ方
「ユーザー数」が少ない媒体に広告は出せないのでここは必須です。ただ、LINEでシームレスにNFT配れるというソリューションはかなり便利そうなので、いろんなプロジェクトや企業と提携してユースケースを増やすことはそこまで難しくなさそうです。
そして、「嫌悪されない広告の見せ方」も非常に大切だと思っています。
例えば、僕はLINEのトーク画面の上に出てくる広告が好きじゃありません。あの広告は絶対に見なきゃいけない画面に強制的に広告を入れてきてる感があって、すごい嫌ですね、、。お金払っても良いので止めたいとさえ思います。
ウォレット機能と広告を併せ持つと、「ブロックできないのにすごい通知くる、、!」という状況を作ってしまう可能性もあります。この辺りの設計を作り込んで、ユーザーがむしろ通知を楽しみに待つようになれば無敵な気がします。(ZOZOとかのLINE通知って割引情報が多かったりもするのでみんな楽しみに待ってる気もします)
また、このサービスはLINEの友達として積み重なっていくので、web3のプロダクトでありながら競合優位性が高いんですよね。しかも、マネタイズが広告で取っているので、ある程度のユーザー数がいないとマネタイズできない点も競合優位性を上げています。
どういうことか。
マネタイズを手数料で取っている場合(例えばNFT購入手数料)は、後発企業が手数料を安く参入したらそっちに持っていかれる可能性がある。
手数料0%の場合、後発企業はそれ以上のインセンティブをつけれない(お金をばら撒けば別ですが)ので、既存ユーザーがサービスを移行する理由が作りづらい。
OpenSeaの後にBlurが参入して手数料0%にしたように、後発企業によるインセンティブ強化してユーザーを奪い去る作戦を封じています。
総じて、「ユーザー数が多くならないとマネタイズできないが、一度ユーザー数を確保できれば競合優位性も築けるし、指数関数的に売上が増える」という極めてスタートアップ的な戦略が見えて、個人的に非常に面白かったです!
※なお、これらの予想は全て勝手に予想してるだけで、公式情報とは何の関係もありません。そして、全然外れている可能性もありますのでご了承ください😌
引き続き注目してみていきたいと思います!
«参考リンク»
・HP:https://nftpocket.studio.site/
・Twitter:https://twitter.com/ramen__jp
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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