【3/10(月)のweb3ニュース20選】Binanceがコミュニティ投票型の上場制度を発表 / イーサリアム価格が急落 / Kraken、SEC訴訟取り下げとIPO計画 etc..
20のニュースを取り上げました。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
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dYdXのガバナンス投票で提案に圧倒的支持
分散型取引所dYdX財団が実施したガバナンス投票で、提案に対し98%以上の賛成票が集まりました。全アクティブ検証者の半数以上と770以上のアカウントが投票に参加し、コミュニティによる強い支持が示されています。この結果により、dYdXトークンや取引戦略にも影響を与えるとみられます。
https://blockchain.news/flashnews/dydx-governance-vote-results-show-overwhelming-support-for-proposal1inchのハッカー、協議の末に盗難資金約5百万ドルを返還
DEXアグリゲーター1inchのスマートコントラクト脆弱性を突いたハッカーが、協議の結果盗まれた資金の大部分を返還しました。1inchは攻撃者と直接交渉し、バグ報奨金として一部をハッカーに残すことで合意。これによりユーザー資金への被害は回避され、1inchは関係コントラクトのアップデートを急いでいます。
https://cointelegraph.com/news/1inch-loses-5m-hack-fusion-v1-smart-contractBinance、コミュニティ投票型の上場制度を発表(Coinbaseも上場プロセス見直しへ)
世界最大の暗号資産取引所Binanceは、ユーザーがトークンの上場・上場廃止を投票で決める共同ガバナンス制度を導入すると発表しました。Binanceが候補プロジェクトを選定し、最多投票のトークンを精査の上で上場する仕組みです。一方、米大手取引所Coinbaseも、新規トークン数急増を受け上場プロセスの再考を表明しており、主要取引所で上場手続の見直しが進んでいます。
https://cointelegraph.com/news/binance-community-voting-mechanism-token-listingsKraken、SEC訴訟取り下げで2026年のIPO計画が前進
米暗号資産取引所Krakenは、米証券取引委員会(SEC)が同社に対する無登録証券取引所運営などの訴訟を「撤回する方針」で合意したと発表しました。これによりKrakenは法的障害が解消し、2026年に株式公開(IPO)を目指す計画を本格化しています。実現すればCoinbaseに次ぐ米国で2社目の上場暗号資産取引所となります。
https://decrypt.co/309180/kraken-plots-public-offering-reportGeminiがIPOを機密申請、年内上場の可能性も
ウィンクルボス兄弟が率いる米暗号資産取引所Geminiが、株式公開(IPO)に向けた機密申請を行ったと報じられました。ゴールドマン・サックスやシティグループを起用して準備を進めており、市場状況次第では2025年中にも上場する可能性があります。
https://www.pymnts.com/cryptocurrency/2025/gemini-reportedly-planning-to-take-crypto-firm-public/スペイン大手銀行BBVA、ビットコイン・イーサリアム取引サービスが承認取得
スペインの銀行大手BBVAは、自国当局からビットコインとイーサリアムの売買・カストディサービス提供の認可を取得しました。同サービスはまず一部顧客に提供され、その後富裕層顧客全般に拡大予定です。欧州のMiCA規制に準拠した形で展開され、利用者は既存の銀行アプリ内で暗号資産取引を安全に管理できるようになります。
https://cryptobriefing.com/newsbriefs/?id=165546&title=spains-major-bank-bbva-to-offer-bitcoin-ether-trading-and-custody-servicesSBI VCトレード、国内初のステーブルコイン交換業者登録-USDCサービス開始へ
日本のSBI VCトレードが、改正資金決済法に基づく「電子決済手段等交換業者」として国内初の登録を受け、外国ステーブルコイン(Circle社のUSDC)の取り扱い許可を取得しました。同社は3月12日にも限られた範囲でUSDCの売買サービスをベータ提供開始予定で、今後の本格展開に向けた一歩となります。これにより日本でも米ドル連動型ステーブルコインの利用が本格化する見通しです。
https://www.ledgerinsights.com/usdc-stablecoin-to-launch-in-japan-after-sbi-vc-trade-gets-a-license/高速ブロックチェーン「MegaETH」、テストネットを一般公開
Vitalik氏らが支援する高性能ブロックチェーンプロジェクト「MegaETH」が、テストネットを公開し3月10日から一般ユーザーの参加を開始しました。今回公開されたテストネットでは単一スレッドで毎秒1.68ギガGasの処理性能と15ミリ秒のブロックタイムを実現しており、参加希望者にはテスト用ETHが直接配布されます。今後さらなる機能拡張が予定されており、高速Ethereum互換チェーンとして注目されています。
https://www.panewslab.com/en/articledetails/agik0lsa.htmlweb3インフラ企業Validation Cloud、シリーズAで1500万ドル資金調達
ブロックチェーンデータとAI分野のスタートアップValidation CloudがシリーズAラウンドで1,500万ドル(約20億円)の資金調達を実施しました。True Global Venturesが主導したこの投資により、同社はステーキングやノードAPI事業を拡大し、ブロックチェーン向けのデータ×AIソリューション開発を加速させる計画です。企業やプロトコル向けに高速で高度なブロックチェーンデータ処理基盤を提供する同社の動きは、web3インフラ拡充の一環として注目されています。
https://cointelegraph.com/press-releases/validation-cloud-raises-15m-series-a-to-bring-data-x-ai-to-web3イーサリアム価格が急落、3年に及ぶ強気トレンドに陰り
イーサリアム(ETH)の価格が3月初旬にかけて1週間で約20%下落し、2022年以来最大の週次下落率を記録しました。この急落により、2022年6月のテラ崩壊後から続いていた長期上昇トレンドラインを下方ブレイクしており、約3年間続いた強気相場の終焉が示唆されています。アナリストは今後のサポート水準を1,500ドル付近と見ており、さらなる下落リスクに備える動きも出ています。
https://www.coindesk.com/markets/2025/03/10/ether-s-20-plunge-shatters-bull-market-trendline-created-after-2022-terra-crashNFT市場の低迷が深刻に、2月の取引高は前月比50%減少
DappRadarの月次報告によると、2025年2月のNFT市場の取引量は約4億98百万ドルとなり、1月から半減しました。暗号資産全体の価格下落に連動した形で市場が冷え込んだ一方、AIやスポーツ関連のNFTコレクションには健闘する動きも見られました。取引件数も前月比16%減少しており、クリプト相場とNFT需要の密接な相関が改めて浮き彫りになっています。
https://en.cryptonomist.ch/2025/03/07/nft-market-50-drop-in-february-2025-along-with-crypto-prices/Axie Infinity、新作web3ゲーム『Atia’s Legacy』を発表
人気NFTゲーム「Axie Infinity」の開発企業Sky Mavisは、Axieの世界観を舞台にした新作MMOゲーム『Atia’s Legacy』のトレーラーを公開しました 。このゲームは3Dグラフィックでのバトルやパズル、釣り、農場シミュレーションなど従来より進化したゲームプレイを特徴とし、友人招待でAxieトークン(AXS)が報酬として得られるリファラル制度も導入されます。
https://cointelegraph.com/news/axie-infinity-web3-game-atias-legacy-trailerトランプ大統領「暗号資産との戦いは終わり」、米国をビットコイン覇権へと宣言
ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで開かれた暗号資産サミットで、「政府による暗号資産への戦争は終わった」と表明し、米国をビットコインの世界覇権国家に押し上げる意志を宣言しました。前政権下の厳しい規制(いわゆる「Chokepoint 2.0」)を終わらせ、暗号戦略を強化する方針です。この一環として、暗号資産で没収された犯罪収益を活用した「戦略的ビットコイン準備金」の創設も盛り込まれており、今後米国政府が積極的にビットコインを保有・活用する可能性が示唆されています。
https://cryptoslate.com/trump-declares-end-to-war-on-crypto-vows-to-propel-america-to-bitcoin-supremacy/テザー社、ロシア系取引所GarantexのUSDT2700万ドルを凍結-資金洗浄摘発で
米欧当局の協調取り締まりの一環として、ステーブルコインUSDT発行元のテザー社が制裁対象となっているロシア系暗号取引所Garantex上の約2,700万ドル相当のUSDTを凍結しました。この措置によりGarantexは事実上の業務停止に追い込まれ、同社は「ロシアのUSDT資産全体が危険に晒される」と抗議しています 。Garantexは以前より制裁逃れに関与した疑いで米欧から制裁を受けており、今回の凍結は暗号資産を悪用した資金洗浄への厳しい姿勢を示すものです。
https://cryptoslate.com/tether-freezes-27m-on-garantex-forcing-halt-of-russian-linked-exchange/米上院議員ウォーレン、暗号担当サックス氏に利益相反の疑いで公開質問状
米上院議員エリザベス・ウォーレン氏は、トランプ政権の暗号資産政策担当「クリプト・ツァー(皇帝)」ことデイビッド・サックス氏に対し、その暗号資産保有状況と政策との関係について説明を求める書簡を送りました。ウォーレン氏は、政府高官が個人的な暗号投資利益のために規制緩和や特定トークン優遇を行っていないか懸念を示し、サックス氏に対し自身や関与企業の保有する暗号資産の開示や、利益相反がないことの証明を要求しています。これは政権による「国家暗号資産準備金」構想への議会側の牽制と受け止められています。
https://cryptoslate.com/elizabeth-warren-seeks-clarity-on-donald-trump-era-crypto-strategies-and-david-sacks-holdings/米OCC、銀行による暗号資産カストディ業務を正式に容認
米通貨監督庁(OCC)は、米国の全国銀行が事前承認なしに暗号資産関連業務を行えることを明確化する指針を発表しました。これにより銀行は暗号資産のカストディサービスやステーブルコインの取扱い、さらには公的ブロックチェーン上でバリデータとして参加することも認められます。同時にOCCは以前の慎重姿勢を撤回し、銀行が適切なリスク管理の下で従来業務と一貫した形で暗号業務に従事できるよう規制の明確化を図りました。
https://cryptoslate.com/occ-gives-green-light-for-banks-to-custody-digital-assets/Bitwise、米国初のAptos現物ETFを申請、APT価格が急騰
米資産運用会社Bitwiseは、新興レイヤー1であるAptos(APT)の現物ETF(上場投資信託)を米証券当局に申請しました。申請が報じられるとAPTトークン価格は二桁%の上昇を見せ、市場ではアルトコインETFへの期待感が高まっています。Bitwiseは既にビットコインやイーサリアムだけでなくSolanaやXRP、Dogecoinの現物ETFも申請中で、市場第36位の時価総額であるAptosへの対応は異例のケースとして注目されています。
https://cointelegraph.com/news/bitwise-files-list-spot-aptos-etf-with-secSolana共同創設者、「米暗号資産準備金」にロビー活動との噂を否定
Solana共同創設者のアナトリー・ヤコベンコ氏は、トランプ政権が検討中の国家暗号資産準備金へのSOLトークン組み入れを巡り、Solana側がロビー活動を行ったとの主張を否定しました。ヤコベンコ氏は「政府によるいかなる暗号資産の保有も中央集権化を招き、分散性への脅威となる」と述べ、政府管理の「暗号準備金」そのものにも懸念を示しています。SOLは同準備金構想に含まれる5銘柄の一つとして言及されていますが、同氏はあくまでコミュニティ主体の分散型エコシステムを維持する立場を強調しました。
https://cryptoslate.com/solana-co-founder-denies-claims-of-lobbying-for-inclusion-in-us-crypto-reserve/ビットコインクジラが買い増し、Binanceのステーブルコイン準備高が過去最高に
オンチェーン分析によれば、大口投資家(クジラ)がビットコインを積極的に買い増す動きが確認されており、仮想通貨取引所Binanceのステーブルコイン準備残高は過去最高の313億ドルに達しました。Binanceは市場の主要な流動性ハブであり、ステーブルコイン準備高の増加は資金待機勢力の厚みを示します。歴史的に見てもBinance上のステーブルコイン残高が増加する局面は、その後の市場上昇と相関する傾向があり、市場見通しが明るい兆候と受け止められています。
https://cryptoslate.com/bitcoin-outlook-brightens-as-whales-accumulate-and-binance-stablecoin-reserves-surge/マイケル・セイラー氏、米政府に「戦略的ビットコイン準備」を提言
MicroStrategy共同創設者のマイケル・セイラー氏は、ホワイトハウスの暗号資産会合で米国政府が今後10年間でビットコインの総供給量の5~25%を取得する「戦略的ビットコイン準備金」計画を提案しました。2045年まで売却しない方針を取れば毎年10兆ドル以上、累計で16~81兆ドルの利益を国庫にもたらし、米国の債務削減と繁栄の源になると試算しています。トランプ大統領も同日、この準備金創設に関する大統領令に署名しており、セイラー氏の大胆な戦略提言は政権の暗号政策にも影響を与えています。
https://cointelegraph.com/news/strategy-michael-saylor-bitcoin-purchase-us-government-donald-trump
ピックアップニュース(詳細解説)
Kraken、SEC訴訟取り下げとIPO計画
Krakenは2011年創業の米大手暗号資産取引所で、これまで非上場のまま急成長してきました。しかし2023年11月、SECはKrakenの親会社などが「無登録の証券取引所・ブローカー業」を営み、顧客資産を流用していたとして提訴しました。当時のゲンスラー前SEC委員長の下で進められた強硬姿勢により、KrakenはIPOの計画を棚上げせざるを得ない状況でした。
2024年の米大統領選で暗号資産に積極的なトランプ政権が誕生すると、規制当局の姿勢が一転します。2025年3月、KrakenはSECスタッフがこの訴訟を「事実上取り下げることに合意した」と発表しました。SECは訴えを「プレジュディス(再提訴不可)付きで取り下げ」、制裁金や違法の認定もなく幕引きとなる見込みです。これは当局が暗号産業への締め付けを緩和する象徴的な出来事でした。
訴訟リスクが解消したことで、Krakenは長期的な資本戦略としてIPO計画を再始動しました。Bloombergの報道によれば、Krakenの持株会社Payward社は2026年の株式公開を目指して準備を進めています。実現すれば、2021年上場のCoinbaseに次いで米国で2社目の暗号資産取引所の株式公開となります。Kraken経営陣も「我々は財務情報の開示など透明性向上に努めており、適切な時期に公開市場に進出する用意がある」と述べています。
関係者の見解
Krakenは訴訟取り下げについて公式ブログで歓迎の意を示し、「SECの決定は法的勝利以上の意味を持つ。政治的動機による不当な攻撃の終結であり、イノベーションへの不確実性が払拭されたことで米国における暗号の未来に転換点が訪れた」と強調しました。業界では、この動きを受けてGeminiやeToroなど他の取引所も上場を検討しているとの報道があります。実際、Geminiは機密扱いでIPO申請を行い、eToroもSPAC上場計画の再始動が噂されています。
今後の展望
KrakenのIPO計画前進は、米国における規制環境の変化を象徴しています。SECが暗号企業に対する「戦い」を緩めたことで、健全な競争と伝統金融市場での資金調達が可能となり、暗号業界の成熟が加速すると期待されています。投資家にとっても、暗号企業に株式市場を通じてアクセスできる機会が増えることになり、市場の流動性拡大や信頼性向上につながるでしょう。一方で、当局は「銀行並みの厳格なリスク管理を暗号企業にも求める」と強調しており、規制緩和と引き換えにガバナンスやコンプライアンス遵守への高いハードルが課される点には留意が必要です。
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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