【Meanwhile】世界初のビットコイン建て生命保険を提供 / 税制優遇やBTCの借入機能もあり / OpenAIのサム・アルトマン氏らが出資 / @meanwhilelife
元マッキンゼーのシリアルアントレプレナーが設立し、かなり面白い仕組みです。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Meanwhile」についてリサーチしました。
🟧Meanwhileとは?
💰シリアルアントレプレナーが設立、サムアルトマンも出資
💬保険×投資で非常に魅力的な商品
🧵TL;DR
Meanwhileは、ビットコイン建てで死亡保障が受けられる世界初の終身生命保険を提供。
保険料も給付金もすべてBTCで行われ、インフレや法定通貨の価値下落に強い設計。
米国では死亡保険金の非課税や課税繰延などの税制優遇があり、契約内のBTCを担保に借入も可能。
創業者は元マッキンゼーのZac Townsend氏で、OpenAIのサム・アルトマン氏らが出資。
🟧Meanwhileとは?
「Meanwhile」は、世界初のビットコイン建て生命保険を提供するプロジェクトです。従来の生命保険では保険金が法定通貨で支払われますが、Meanwhileでは保険料の支払いから将来の給付金に至るまですべてビットコインで行われます。
現在提供中のサービスは終身型の生命保険(ホールライフ保険)であり、契約者が一定期間ビットコインで保険料を支払うことで、生涯にわたり保障が続く仕組みです。
契約者は、一定期間(例:10年間)にわたってBTCで保険料を支払うことで、一生涯にわたり死亡保障を受けられる終身保険に加入します。万一、契約者が亡くなった場合には、指定された受取人にあらかじめ契約時に定めたBTC額の死亡保険金が支払われます。
この保険金は、BTCのまま受け取ることができるため、法定通貨のインフレや価値下落の影響を受けにくく、ビットコインの長期的価値を信じる人にとって魅力的な設計になっています。
また、この保険は単なる保障機能だけでなく、積立部分のBTC(キャッシュバリュー)を担保にポリシーローン(契約者貸付)を利用したり、部分引き出しを行うことも可能です。これにより、契約者はBTCを売却せずに資金を得る手段としても活用できます。さらに、アメリカでは生命保険として認定されることで、死亡保険金の非課税受取や運用益の課税繰延などの税制優遇も享受できます。
上記の借入と税制優遇がかなり大きな特徴ですので、もう少し詳しく説明します。
✅ 税制優遇の仕組み(主に米国基準)
Meanwhileの保険は、アメリカの税法上「生命保険契約」として認定されるように設計されており、それに伴い以下のような強力な税制優遇が適用されます。
① 死亡保険金は非課税
契約者(被保険者)が亡くなった際、受取人が受け取る死亡保険金(BTC建て)には、所得税がかかりません。これは米国税法で定められた生命保険特有の恩恵です。
例)死亡時に受け取る2 BTC(当時の価値で2億円相当)にも、所得税は一切かからずに家族に残すことができます。
※相続税(遺産税)の対象になる場合はありますが、米国では適切に信託などを組めば、相続税の対象外とする設計も可能です。
② 契約中のBTC運用益は課税繰延
保険契約内でBTCが増えても(積立利息や配当など)、契約を解約したり引き出さない限り税金はかかりません。これはいわゆる「課税の繰り延べ(tax deferral)」です。
たとえば、保険契約内で1 BTCが2 BTCに増えても、その時点では税金が発生しません。
→ 利益を「契約内で非課税で寝かせて育てる」ことが可能です。
この仕組みを利用すれば、複利効果×非課税で資産を増やすことができます。
③ 保険料支払いでBTCの取得価格を“ロック”
保険料としてBTCを支払った時点で、そのBTCは「使った」と見なされ、支払い時点の価格で取得価格が確定します。
つまり:
後にBTCが高騰しても、その分の課税を避けることができる。
将来、死亡保険金としてBTCが渡されたとき、その評価益には課税されません(既に処理済)。
▶ これは、BTCをHODLしてると将来の売却で重い課税が来る=“HODL税トラップ”を避けられる設計です。
💸 借入可能(ポリシーローン)の仕組み
Meanwhileの保険では、契約後2年が経過すると、BTC建てで積み立てられた保険のキャッシュバリュー(解約返戻金)を担保にして、BTCを借り入れることができます。
仕組みの概要
借入限度:解約返戻金の最大90%まで
通貨:BTCで貸付
返済義務:基本的に任意(返済しなくてもOK)
利息:比較的低利(市場より有利)
メリット1:BTCを売らずに流動性を得られる
HODLしていたBTCを売却せずに、保険契約を通じて流動資金(BTC)を手に入れられるのが最大の利点です。
例)契約内に2 BTC積み立てがあり、そのうち1.5 BTCを借入可能。
→ 必要な時に借り、将来的に死亡保険金から自動的に差し引かれるので、返済しなくても契約は維持される。
メリット2:借りたBTCを売却しても課税されない
通常、BTCを売ると利益に課税されますが、保険契約を通じて借りたBTCは“借金”なので課税されません。
たとえば、0.1 BTC(取得価格100万円)の人が、価格上昇後(価格1,000万円/BTC)に1 BTCを借りて売却しても、売ったBTCは借入なので課税されない。
これにより、最大数千万円の利益に対する課税を回避しながら、BTCを“売ったのと同じ現金化”ができます。
メリット3:税務上の貸付清算もスマート
返済しなかった場合でも、
死亡時に支払われる保険金から差し引かれる
それによって税務上の問題が発生しにくい
このように、課税されずにBTCの流動性を確保できる仕組みが整っています。
まとめ:税制優遇 × 借入機能のシナジー
MeanwhileのBTC建て生命保険は、
ビットコインを売却せずに運用・移転・引き出しができる
米国税法に準拠した「税制優遇」
BTC長期保有者が安心して“資産活用”できる
という極めてユニークな設計になっています。
つまり、「BTCを守りながら増やし、必要な時に使い、家族に渡せる」というスキームを保険の構造でスマートに実現した仕組みです。
つまり、Meanwhileは単なる保険だけでなく、ビットコイン長期保有者向けの資産保全・相続計画ツールとして、保障・運用・税制の3つの観点から優れた製品となっています。
💰シリアルアントレプレナーが設立、サムアルトマンも出資
Meanwhileの設立の背景には、「ビットコインをただ保有するだけでなく、“生かす”手段を持ちたい」という創業者の問題意識と、長期的なBTCホルダーのニーズがありました。
共同創業者兼CEOのZac Townsend氏はこれまで米国や欧州において、テクノロジー、金融政策、スタートアップ領域にまたがる多彩なキャリアを築いてきた人物です。マッキンゼー出身の戦略コンサルタントとしてキャリアをスタートさせた後、米国財務省、Citi Venturesなどで金融インフラや公共政策に関わった経歴を持ちます。
また、金融データプラットフォーム「Standard Treasury」の共同創業者でもあり、そこでは銀行と開発者をつなぐAPIの普及に貢献しました。さらに、暗号資産領域に対しても早くから深い関心を持ち、自ら「ビットコインホルダー」としての経験もあることがMeanwhile構想の源となりました。
Meanwhile創業のきっかけは、「ビットコインを相続や資産移転に活用する手段がない」という課題への着目でした。
ザック氏は、自身がBTCを長期保有する中で、「この資産を次世代にスムーズに引き継ぐにはどうしたらいいか?」という問いに突き当たります。既存の金融制度では、ビットコインを担保とした金融商品や、BTC建ての死亡保障といった仕組みは存在せず、富裕層が相続対策として利用できる手段が極めて限定的でした。こうした背景から、伝統的な終身保険の構造をビットコインに持ち込み、長期的なBTCホルダー向けに最適化された保険モデルを設計するというアイデアが生まれました。
Meanwhileの正式な創業は2022年で、保険業界のプロフェッショナルであるMax Gasner氏をCTOに迎え、バミューダ諸島で保険会社としてのライセンス取得を目指してプロジェクトが始動します。バミューダを拠点に選んだのは、デジタル資産に対して柔軟でかつ国際的にも信頼される保険規制体制が整っていることが理由です。
実際、同国の金融当局(Bermuda Monetary Authority)はビットコイン建ての保険商品に対する世界初の認可を与えました。
資金調達面では、創業初期の段階で非常に著名な投資家の支持を集めています。2023年には、シードラウンドで1,900万ドル(評価額1億ドル)を調達。
このラウンドには、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏や、Stripe元幹部のLachy Groom氏、米GoogleのCVCであるGradient Venturesなどが参加しました。さらに、伝統的金融・保険業界からも支援を受けており、日本のMS&ADインシュアランスグループのベンチャー部門や、スペインの大手銀行グループSantander系のMouro Capital、再保険ファンドのHudson Structured Capital Managementなどが出資しています。
2025年4月には、シリーズAラウンドで4,000万ドル(約58億円)の資金調達に成功。
これにより、バミューダでのライセンス取得後のグローバル展開準備が本格化しています。CEOであるタウンゼント氏は、「我々は単に新しい保険商品を作っているのではなく、BTCホルダーが未来に備える手段を再構築している」と語っており、生命保険という既存概念を“BTC経済圏”において再発明する構想を掲げています。
💬保険×投資で非常に魅力的な商品
最後は総括と考察です。
Meanwhileは一見すると非常にシンプルですが、着目していたアイディアやそれを実現するスキームがとても面白いです。BTC建てで生命保険を作れることはもちろんですが、特に税制面の優遇とその優遇を受けた上で途中でBTCを借りることができる点が非常にユニークです。
当然、税制優遇を受けることができる国に限定されますが、逆にその国の中であれば一定の資産を持ち暗号資産に有効的な人物にとってはやっても損がない商品のように思います。
いずれにせよビットコインを購入し保有するのであれば生命保険の形式で積み立て、その一部を借入して売却するといったことができるので、ある種の投資商品のようになっています。
こういったスキームはビットコイン長者の気持ちもわかり、金融商品や税制にも詳しい人物でないと作れないので、まさに創業者のトラックレコードが生かされたサービスだと感じました。
日本でこのようなスキームが作れるのかわかりませんが、たとえば保険会社や証券会社等の新しい商品として一部可能性がある方向性かもしれません。
以上、今日は「Meanwhile」についてリサーチしました!
🔗参考/画像引用先:HP
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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