【Layer N】DeFiのスケーラビリティを解決するETHのL2ソリューション / ピーターティールの支援するFounders Fund等から500万ドルの資金調達
「Ethereum's Financial Superlayer」を掲げる注目のL2チェーンです。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Layer N」についてリサーチしました。
«目次»
1、Layer N とは?
- ロールアップとは?
- Layer Nの特徴
- 整理
2、変遷と展望:ピーターティールの支援するFounders Fund等から500万ドルの資金調達を実施!元はSolanaチェーンに作られていた?
3、考察:金融領域のブロックチェーンはどうなる?
Layer N とは?
「Layer N」は、DeFiのスケーラビリティ向上を目的に設計されたイーサリアム上のレイヤー2ネットワークです。「Ethereum's Financial Superlayer」を掲げています。現在はまだテストネット公開前で、早期開発者を募集しています。
NADAQのような伝統的な金融ソリューションをフルオンチェーンで実現することを目標に金融に特化した設計を行なっています。その結果、Solanaの100倍、PolygonやStarknetの300倍、イーサリアムの10,000倍のスループット(処理速度)を誇ります。
その概要を簡単に言えば、Layer Nはモジュラー型のロールアップのバブとなるソリューションとなります。
ブロックチェーンのモジュラー設計は、異なる機能が独立したモジュールとして組み合わせられます。これにより、セキュリティ、コンセンサス、データストレージなどの各機能を別々に最適化でき、柔軟性と拡張性が向上します。システム全体が一つの部分の失敗により停止するリスクを減らし、効率的なアップグレードとメンテナンスを可能にします。反対に全てを1つのチェーンで包含するチェーンをモノシリックと呼びます。ここ最近、モジュラー型のブロックチェーンが流行ってきています。(この辺りはまた別途でリサーチ記事を上げます)
◼️ロールアップとは?
Layer Nを理解するためにブロックチェーンにおけるロールアップの理解が必要ですので、少し厚めに解説します。ご存知の方は飛ばしていただいて大丈夫です。
ブロックチェーンのロールアップは、スケーラビリティの問題に対処するためのソリューションの一つです。特に、イーサリアムのようなブロックチェーンは、多くのトランザクションを処理する能力に限界があるため、ガス料金の高騰やネットワークの混雑が発生しています。ロールアップは、オンチェーン(メインチェーン)の負荷を減らし、スループット(取引速度)を向上させることを目的としています。
ロールアップの基本的なアイデアは、多数のトランザクションをグループ化し、そのデータを一つのデータパッケージに「ロールアップ」して、メインチェーン上に1つのトランザクションとして記録することです。これにより、個々のトランザクションをメインチェーン上に直接処理する代わりに、より多くのトランザクションを効率的に処理することが可能になります。
ロールアップには主に2つのタイプがあります:
Optimistic Rollup
このアプローチでは、トランザクションが有効であると「楽観的に」仮定されます。それらは一定期間後にメインチェーンにコミットされる前に、不正があった場合にチャレンジされる機会があります。
トランザクションはサイドチェーンで実行され、結果だけがメインチェーンに定期的に送信されます。
セキュリティはメインチェーンに依存しており、フロードプルーフ(詐欺証明)を通じて不正行為を防ぐメカニズムがあります。
zk-Rollups
「zk」はゼロ知識証明を意味し、トランザクションが有効であることを検証するために使用されます。
トランザクションの正当性を証明するために、ゼロ知識証明が生成され、メインチェーンにコミットされます。これにより、個々のトランザクションを検証する必要がなくなります。
zk-RollupはOptimistic Rollupよりも高速であり、即座に最終的なトランザクションが確定します。
ロールアップは、レイヤー2スケーリングソリューションの一部としてメインチェーン(レイヤー1)の上に構築されます。これにより、メインチェーンのセキュリティは保持しつつ、トランザクションの処理速度と効率を大幅に向上させることができます。イーサリアムは、このようなスケーリングソリューションを積極的に採用しており、その結果、より多くのアプリケーションがスムーズに機能し、ユーザーは低コストでトランザクションを行うことができるようになることが期待されています。
Layer Nは基本的にはこのロールアップ技術を採用し、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決しようとしていますが、ロールアップにプラスして独自の技術を採用しています。
◼️Layer Nの特徴
では技術的な特徴も見ていきます。なるべくわかりやすく解説できるように噛み砕いて説明させていただきますが、固有名詞が多く出てきて少し難しいので、触りだけ伝われば大丈夫です。
①RiscZero for ZKFP
Layer NはRiscZeroと呼ばれるスタートアップが開発するZKFPを採用しています。これはゼロ知識証明の一種ですが、一般的なzkrollupと異なり、必要な場合 (バリデーター詐欺の場合) にのみ ZKプルーフを生成します。
ZKプルーフのイベント駆動型の使用には、Web2のようなパフォーマンスと、従来のOptimistic Rollupよりも短い不正防止ウィンドウという2 つのメリットがあります。
②EigenDA
ロールアップソリューションの 1 つの重大なボトルネックは、ブロックスペースの問題です。イーサリアムのブロックスペースを使用してロールアップ データを保存すると、ロールアップのトランザクション価格が非常に高くなり、従来のロールアップのコスト効率が低くなります。
この課題に対処するために、Layer Nは、1 秒あたりメガバイトのブロックスペースを提供するソリューションである、EigenDAを活用しています。
DAというのはData Availabilityの略で、先ほど解説したブロックチェーンのモジュラー設計における「データの可用性(DA)」を担います。DAはネットワーク上でデータがどのように保存され、アクセス可能であるかを扱います。
その中でEigenDAを採用しています。EigenDAはEigenLayer の再ステーキングと、Danksharding を含むイーサリアム コミュニティで開発されたDAの最先端のアイデアを利用して、高いDAレートと低コストを提供するハイパースケールDAレイヤーです。Eigen Layerはイーサリアムステーカーを再利用するため、高いセキュリティの保証も可能になります。
③共有シーケンサー
Layer NはInter-Rollup Communication Protocol (IRC)を採用し共有シーケンサーで稼働しています。シーケンサーとは、トランザクションを受け取り、それらを一定の順序に並べて処理する役割を果たすエンティティまたは機能を指します。
Layer N上のすべてのロールアップが他のロールアップにメッセージをシームレスに送信し、流動性を瞬時に橋渡しすることができます。
◼️整理
このニュースレターではあまり技術的な解説を行わないので、少し難しい解説だったかもしれません。すごく簡単に言えば、
Layer NはCeFi(中央集権的な金融サービス)と同等の取引数をフルオンチェーンで捌けるスケーラビリティを提供するETHのL2ソリューション
モジュラー型のRollupソリューション
DAにEigenDAを採用、zkRollupの中でも特殊なZKFPを採用、さらに共有シーケンサーを採用することで、高いセキュリティのままで、高速なトランザクションと安価なガス代を実現
現在、Layer N固有のロールアップとしてハイパーパフォーマンスなExchangeロールアップの「Nord」、パブリック Ethereum 仮想マシンのロールアップ「N-EVM」、金融機関向けのロールアップ「NordX」が発表されています。
変遷と展望:ピーターティールの支援するFounders Fund等から500万ドルの資金調達を実施!元はSolanaチェーンに作られていた?
Layer Xはニューヨークを拠点とするスタートアップです。現在はテストネット公開前で、公式Xでは2023年10月31日にテストネットのロード(準備)が80%まで到達していることを報告しているので、数ヶ月以内にテストネットが公開されることが予測されています。
Keep reading with a 7-day free trial
Subscribe to web3 Research JAPAN to keep reading this post and get 7 days of free access to the full post archives.