【Kredete】アフリカ系ディアスポラ向けに国際送金とクレジット構築を統合したフィンテックアプリ / 取引履歴が米国の信用スコア改善につながる / @kredete
B2B向けAPIの提供も開始
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Kredete」についてリサーチしました。
📱Kredeteとは?
🚩変遷と展望
💬ステーブルコイン決済基盤の拡大は続く
🧵TL;DR
Kredeteは、アフリカ系ディアスポラ向けに国際送金とクレジット構築を統合したフィンテックアプリです。
25か国以上に即時送金でき、手数料は1ドル未満と低コスト、さらに取引履歴が米国の信用スコア改善につながります。
加えてバーチャルカードやB2B APIインフラも備え、送金を「支出」から「未来への投資」へ変える仕組みを提供しています。
📱Kredeteとは?
Kredeteはアフリカ向けの国際送金とクレジット構築を組み合わせたプラットフォームです。米国在住のアフリカ系ディアスポラ(移民)を主対象に、国際送金とクレジット構築を一体化したモバイル体験を提供しています。
現在、アフリカ25か国以上への即時送金に対応し、通貨も15種類以上を扱っています。送金元からアプリ内ウォレットに資金を入れ、モバイルマネー口座(例: M-Pesaなど各国のモバイル送金サービス)や現地銀行口座への直接振込、あるいは受取人のKredeteアプリ口座に送金できます。アプリ内ウォレットはマルチカレンシー対応で、複数通貨の保管・送受金が可能です。
以下、特徴となります。
◼️安価な送金手数料と高速送金
送金手数料は極めて低く、透明性が高いことが特徴です。Kredeteは送金インフラにステーブルコイン技術を活用することでコストを削減しており、国際送金1件あたりの手数料を1ドル未満に抑えることに成功しています。
また、ステーブルコインを用いたリアルタイム決済網により、従来の銀行送金より速い着金を実現しています。
フロントのユーザー画面では法定通貨ベースのシンプルなUXであり、裏側の送金システムにステーブルコインを利用しています。
◼️クレジットスコアの構築
単なる送金に留まらず、「送金でクレジットスコアを構築する」独自機能が最大の特徴です。
Kredeteでは送金取引を米国の信用情報機関にオンタイム支払い情報として報告し、ユーザーのクレジット履歴を積み上げます。これにより、アフリカ系移民ユーザーは日々の送金活動を通じて自国ではなく米国での信用スコアを改善できる仕組みです。
さらに、アプリ内でクレジットスコアの表示・成長トラッキング機能があり、リアルタイムにスコア推移を確認したり、スコア向上のためのアドバイスを受け取ることができます。
米国などに暮らすアフリカ系ディアスポラにとって、家族への送金は日常的な責任でありながら、従来は「費用」として消えるだけの行為でした。Kredeteを通じて送金すれば、その履歴が米国の信用情報機関に報告され、クレジットスコアの改善につながります。
これにより、ユーザーはより低金利で住宅や自動車のローンを組めたり、賃貸契約や公共料金の保証金を減らせたりと、生活コストの削減と金融アクセスの拡大を実感できます。つまりKredeteは、仕送りを「単なる支出」から「未来の金融的な選択肢を広げる投資」へと転換させる役割を担っています。
◼️B2B向けのAPIインフラ
KredeteはB2B向けのAPIインフラも提供しています。
企業がアフリカ各国の銀行・モバイルマネー網へ安全・低コストのクロスボーダー送金を実行できるよう、単一APIで接続できる“アグリゲーション層”を提供します。
近年の発表でもこのAPIファーストを色濃く示し、ステーブルコイン技術を活用したB2B決済を前面に打ち出しています。
この他にもバーチャルカードの発行や支払い等、フィンテックアプリとしての基本機能を備えています。
🚩変遷と展望
Kredeteは2023年にナイジェリア出身の連続起業家Adeola Adedeweによって立ち上げられました。
彼は米国で自身が直面した「信用履歴の薄さ」という移民特有の壁と、母国の家族へ仕送りを続ける生活実感を重ね、“家族を支える行為そのものを評価する金融”の必要性を痛感しました。
ここから「送金が信用になる」という発想が生まれ、送金とクレジット報告を統合するKredeteのコア機能が出来上がりました。創業初期はアフリカ域内の信用アクセス拡大を志向する構想もありましたが、ほどなく米国のディアスポラにフォーカスしています。こうしてKredeteは、単なる「送金アプリ」から、「信用インフラとしての送金」へとポジショニングを移し、現在の形となりました。
現在、約70万人のアクティブユーザーが利用し、約5億ドルの累計送金額に達しています。
これらの実績も経て、2025年9月にはシリーズAで$22Mの調達を果たしています。リードはチュニジア発の名門VCAfricInvestで、既存投資家Partechに加え、Polymorphic Capitalも参加しました。
調達の使途は明確で、以下の3つが挙げられています。
カナダ・英国・欧州主要国への拡大
家賃レポーティング、貯蓄商品、ゴールベース・ローン、そしてステーブルコイン担保のクレジットカードといったクレジット周辺プロダクトの投入
APIベースのB2B決済インフラの強化
つまり、ディアスポラの“入口”を北米から英連邦・EUへと広げつつ、フロントのユースケースを「送金」から「信用・貯蓄・カード」へと縦に伸ばし、さらにB2Bで横へ広げるという拡張戦略を取っています。
中でも注目は、ステーブルコインを裏側に用いた決済基盤の磨き込みです。
Kredeteは表向きは法定通貨UXを守りながら、バックエンドにステーブルコインベースの決済レールを構築し、着金速度とコスト構造を最適化しています。
シリーズAの発表でも、「Stablecoin transfers to Africa」や「API-based infrastructure」というフレーズが繰り返されており、今後の成長ストーリーの中心にこの決済レールのB2B展開の強化が考えられます。
💬ステーブルコイン決済基盤の拡大は続く
さて、最後は総括を考察です。
プロダクトの基本機能はシンプルです。ステーブルコインベースの送金や決済に加えて、その履歴がクレジットスコアになるという二重構造が提供価値です。
今後はこの仕組みに刺さるユーザー層の拡大、クレジットスコアを利用したプロダクト開発に加えて、この仕組み自体を利用したい企業向けにAPIで提供するという三段構えです。
個人的にアフリカでドル経済にアクセスでき、出稼ぎの家族や友人から即時送金ができるというステーブルコインの仕組みは確実に広がりを見せると思っています。
当然、他にも似たようなフィンテックアプリは多数あると思いますが、基盤をブロックチェーンに置くものとそれ以外ではどう頑張っても手数料に差が出てしまうので、どのアプリでもその裏側にはブロックチェーンが存在し、ステーブルコインでやり取りするという未来が来るのではないかと思います。
今はまだ裏側がステーブルコインで現地通貨に換金されて受け取る人も多いですが、そのうちステーブルコインのままで受け取って、使っていないときはDeFiで運用し、使うときはクレカで支払うという流れが一般化すると思います。
ただそうなると、ドルベースでの生活になるので、自国建のステーブルコインの確立は通貨権の防衛のためにも必須です。利便性の高い方向に人は流れると思うので、自国通貨は税金の支払いの時だけ利用し、それ以外はドル建てステーブルコインで生活する人が世界中で増えていく可能性は少なくないと思っています。
そう考えると、そこまで長くない時間軸で世界中でブロックチェーンが金融基盤になり、ステーブルコインが日常の通貨で利用される日もそう遠くないかもしれません。
楽しみですね。
以上、「Kredete」のリサーチでした!
🔗参考リンク:HP / X
«関連 / おすすめリサーチ»
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
🗓️イベント日程
DAT(Digital Asset Treasury)について、0から解説するウェビナーです。
DATは端的に言えば、メタプラネットのようなクリプトをとにかく購入しまくる上場企業で、BTCトレジャリーカンパニーやクリプトトレジャリーカンパニーとも言われます。最近は"DAT"という名称が定着しつつあるので、それを使いました。
・なぜ流行っているのか?
・どうやって資金調達しているのか?
・事業スキームとは?
・BTC以外のSOL、ETHの盛り上がりは?
・さらにそれ以外のENA、IP、HYPE等の盛り上がりは?
etc...
0から理解できるような勉強会を想定しています。
参加費無料でオンライン開催ですので、ぜひお気軽にご参加ください!
✨有料購読特典
月額10ドル(年額80ドル/月額6.6ドル)で有料購読プランを用意しています。有料購読いただいている方には以下の特典がございます。
週2本の限定記事の閲覧
月曜:1週間のマーケット&ニュースまとめ記事(国内外の20以上メディアから1週間のニュースをキュレーションして紹介)
木曜:Deep Report記事(通常の内容よりも深い調査や考察を盛り込んだ記事 / 公開記事では言えない裏事情も偶に公開)
1,500本以上の過去記事の閲覧
無料で公開された記事も公開1週間後以降は有料購読者以外は閲覧できなくなります。すでに1,500本以上の過去記事が存在し、その全てを見放題です。
不定期のオフ会への参加
オフライン/オンラインにて不定期で有料購読者限定のオフ会を開催します。
※特典は現時点のものであり今後変更の可能性がございます。変更の際はニュースレターでお知らせします。
About us:「web3 for everyone」をコンセプトに、web3の注目トレンドやプロジェクトの解説、最新ニュース紹介などのリサーチ記事を毎日配信しています。
Author:mitsui @web3リサーチャー
「web3 Research」を運営し、web3リサーチャーとして活動。
Contact:法人向けのリサーチコンテンツの納品や共同制作、リサーチ力を武器にしたweb3コンサルティングや勉強会なども受付中です。詳しくは以下の窓口よりお気軽にお問い合わせください。(📩 X / HP)
→お問い合わせ先はこちら