【Jito】エアドロ有り!?MEV報酬を含むSolana初のリキッドステーキングDeFiプロトコル
最近エアドロップを匂わせたことでX上で話題となっていましたので、その概要と背景についてのリサーチです。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Jito」についてリサーチしました。
最近エアドロップを匂わせたことでX上で話題となっていましたので、その概要と背景についてのリサーチです。
«目次»
1、Jito とは?
- リキッドステーキングとは?
- MEVとは?
- MEVとBotの課題
- MEV問題を解決するJito
- 使い方
- エアドロップの噂
2、Jitの展望
3、プロトコルも三方良しの時代へ
Jito とは?
「Jito」は、MEV報酬を含むSolana初のリキッドステーキングDeFiプロトコルです。
Solanaを預け入れることでJitoSolを獲得でき、流動性を担保しながらステーキング収益も獲得できるようになります。ここまでだとよくあるリキッドステーキングの仕組みですが、JitoはそこにさらにMEV報酬も追加します。
バリデーターがステーキングプールの資金を活用してMEV報酬を獲得し、そのMEV報酬がステーカー(ステーキングしている人)にも還元されます。
よって、ステーカーはステーキング報酬+MEV報酬の2つの報酬を手にすることができ、高利回りを獲得できます。
しかし、この説明ではわかりづらい方もいると思うので「リキッドステーキング」と「MEV」について簡単に単語解説します。
■リキッドステーキングとは?
リキッドステーキングはステーキングの一種です。暗号資産をロックして報酬を獲得します。
通常、トークンをステーキングするとそのトークンはロックされ、ステーキング報酬は受け取れますが、流動性は失われます(=そのトークンの譲渡や売買、運用は不可能)。なので、トークン保有者は流動性は無くなるがステーキング報酬が得られるステーキングか、自ら譲渡や売買、またはDeFiでの運用を行うかを選択する必要がありました。
リキッドステーキングはその二者択一の問題を解決し、どちらも可能にします。トークンを預け入れることでステーキング報酬を獲得しつつ、”ステーキング証明トークン”が発行され、そのトークンを譲渡や売買、DeFiの運用に使うことができます。
JitoはSOLを預け入れることでJitoSOLトークンを獲得でき、JitoSOLトークンとしてDeFi上で運用することができます。
■MEVとは?
MEVは「Maximal Extractable Value」の頭文字をとった略語であり、日本語では「最大抽出可能価値」と訳されます。
多くのブロックチェーンではバリデーターと呼ばれる存在がトランザクションを検証し、チェーンの透明性や信頼性が保持されます。そして、検証の対価としてブロック生成報酬や取引手数料などを受け取っています。
MEVとは、この利益を最大化する方法を指します。
MEVの詳細の説明はかなり難しいので、ここではイメージだけ伝われば大丈夫なのですが、MEVの代表的な例としては、トランザクション生成のブロックの順番をいじることで収益を最大化しようとします。
簡単な例を出します。
劇場のチケット
想像してください。ある人が人気の劇場の最前列のチケットを、正式な価格よりも少し高い価格で購入しようとしているとしましょう。この取引を見て、ある業者が素早くそのチケットを正式な価格で購入し、それを最初の人に高い価格で売ることを決めたとします。この業者が儲けを得るのは、他の人の取引情報を利用し、それを上回る行動を素早くとったからです。ブロックチェーンとMEV
この劇場の例に置き換えて、ブロックチェーンの世界では、ある人々が取引をするとき、その取引は一時的に待機行列に入ります。この待機行列の取引を、マイナー(またはバリデーター)がブロックに追加します。MEVは、これらのマイナーが待機行列のトランザクションの順序を変更したり、一部のトランザクションを先に処理することで追加の利益を得る能力を指します。
たとえば、あるユーザーが特定の価格でトークンを購入しようとするトランザクションを送信した場合、マイナーはそのトランザクションの前に自分のトランザクションを追加して、同じトークンをより低い価格で購入し、その後にユーザーに高い価格で売ることができます。これにより、マイナーは追加の収益を得ることができます。
とはいえ、MEVの正確な理解は難しいので、正直僕も完全に理解しているわけではありません。そして初見で一度読むだけで理解することは難しいです。
なのでここでは、ブロックチェーンのブロックを検証するプロセスにおける収益を最大化させる手段はMEVと呼ばれているという理解で大丈夫です。
■MEVとBotの課題
このMEVですが、Botの問題に悩まされています。どのチェーンも同様ですが、JitoはSolanaチェーンなのでSolana上のデータを紹介します。
なんとSolanaのバリデーターは失敗したMEVのトランザクション処理に58%もの時間を使っていることが明らかになりました。
BotはMEV収益を獲得するためにとりあえずたくさん取引を試みようとします。結果的に提出される取引数が膨大になると同時に、失敗に終わる取引も増えます。
例えるなら、BTS(=大人気アーティスト)のライブチケットは高騰する可能性があるので、転売目的の人が大量に申し込む、みたいなことです。これによってサーバーもパンクして申し込みもままならなくなり、純粋なファンが購入できないまたは高値でチケットを購入することになり、運営側も純粋なファンを選別するのに手間を要します。
MEVで期待される収益があるのでBotを送り込むインセンティブが働いてしまい、結果的にSolanaエコシステム全体でガス代が高騰したり、トランザクションの遅延がおこるなど、かなり大きな問題となっています。
■MEV問題を解決するJito
JitoはこのSolanaにおけるMEV問題も解決します。
Jito-Solana は、効率的なMEV抽出用に最適化された Solana Labs バリデータクライアントをフォークして作られています。
ここも簡単にだけ解説しますが、Jitoは独自のMEVオークションシステムを構築しています。JitoはそのブロックのMEVを獲得する機会を得るために、各ブロック内でオークションを行います。トレーダーは入札を提出し、各ブロック内の最高額入札者がMEVを獲得できます。
要するに、MEV獲得のトランザクションを提出する前に一度オークションを挟んでいるので、無駄なトランザクションが提出されることもなくなります。また、このプロセスを減ることでBot攻撃の手間が増えるので、インセンティブが減ります。このオークションでの落札額はバリーデーターとステーカーに配分されます。
よって、Jito-SolanaでのバリデーターがSOL上で増えれば、Botからの攻撃も減り、健全なエコシステムが担保されると主張しています。
そしてこの仕組みをSolana LabsのCEOは「 JITOは、ネットワークに対する MEV の利点を最大化しながら、その負の外部性を最小限に抑えるための優れたアプローチを持っています」とコメントしており、お墨付きをもらっています。
■使い方
利用は簡単で、ウォレットを接続してステーキングするだけです。
1SOLあたり1JitoSOLが配布されます。尚、報酬に関してはJitoSOLの価格に反映されていくので、ステーキング時は1SOL=1JitoSOLだったものが、徐々に1.1SOL=1JitoSOLになるなど、JitoSOLの価値が上がっていきます。
もちろんJitoSOLをDeFiに接続して運用することも可能ですし、JitoSOLからSOLに戻して出金することも可能です。
■エアドロップの噂
Jitoプロトコルの公開は2022年10月です。そこから急成長し、現在Solanaのリキッドステーキングプロトコルとして3番目の規模になりました。160万SOLが預け入れられ、11,000人のステーカーがいます。
そんなJitoが2023年8月に「Referral Program」をスタートしました。
ユーザーは誰でも独自の紹介リンクを生成でき、SNSでシェアする等でJitを紹介します。そこから利用した人数を計測してリーダーボードが更新されていきます。
エアドロップがあるなど、具体的な報酬は明らかにされていませんが、説明文の中に「We will be sure to track all the activity and the new users you send our way 🙏(私たちは、あなたが私たちに送ってくれたすべての活動や新しいユーザーを必ず追跡します🙏)」というコメントがあることから、リファラルでの貢献に応じて何かの報酬があるのではないかと噂されています。
リファラル機能も8月23日に発表され最近のもので、Jitoに関するエアドロの噂がX上に流れてくるようになったのも最近のことなので、おそらくこのリファラル機能を指して噂が生まれたのだと思います。
ということで、僕もリファラルリンク作ってみました!良ければどうぞ!
jito.network/staking/?ref=mitsui
※利用はご自身でよく調査した上で自己責任でお願いします。
Jitoの展望
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