【Intract】web3の学習とクエストへの参加で報酬を獲得できるプラットフォーム / 限定コミュニティと共に作り上げたプロダクト
シードラウンドで300万ドルを調達したシンガポール発のスタートアップです。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Intract」についてリサーチしました。
«目次»
1、Intract とは?
- 機能
- 経験値XPと独自トークンGems
2、変遷と展望:シードラウンドで300万ドルを調達、丁寧なユーザーインタビューを元に生まれたプロダクト
- 変遷
- 展望
3、考察:web3は教育とロイヤリティ醸成を同時に実現する!?
Intract とは?
「Intract」は、web3の学習やクエストに参加することで報酬を獲得できるプラットフォームです。プロジェクト運営者は自社プロジェクトの情報に関するクイズやポストへの反応、オンチェーン取引などを条件にしたクエストを設定し、ユーザーはそれに参加することで報酬を獲得できます。
◼️機能
①Quest
誰でもプロジェクト登録すればクエストを作成できることに加えて、公式パートナーとして提携しているプロジェクトのパートナークエストが存在します。現在パートナーにはPolygonやLinea等が存在しています。
クエストの報酬はXP(経験値)に加え、NFTやホワイトリスト、Intract発行の独自トークン”Gems”が存在し、プロジェクト運営者が自由に設定できます。
②Alpha Hub
クエストと近いですが、こちらは主に学習のためのコンテンツになります。特に最新のweb3に関するクイズが並び、トレンドに乗り遅れないように学習できます。
前半は簡単な説明文となっており、後半にそれを検証するクイズが出題されます。これに回答することで学習しながらXP(経験値)を獲得できます。
③Engage & Earn
友達紹介、毎週のオンボーディングプロセス完了キャンペーン、毎週のXP獲得競争など、各種開催されているキャンペーンに参加することで特典を獲得できます。それらの様子はリーダーボードで随時公開されています。
◼️経験値XPと独自トークンGems
XPはあらゆるクエストの完了時に付与されます。合算して計算されますが、それぞれがどのプロジェクトで獲得したのかも表示されます。おそらくそれぞれのプロジェクトにおけるロイヤリティポイントとなり、一定以上のXP獲得者にしかできないクエストができることになると予想されます。
GemsはIntractが発行する独自トークンです。獲得には友達紹介か、ランダムで配布される戦利品ボックス(宝くじのようなギミック)から獲得できます。Gemsを利用することで限定クエストへのアクセスや、Intract内のガス代の割引など、様々な特典が存在します。
現在は詳細のエコノミクスも発表されておらず、外部取引所への上場も確認できません。Documentには「まだ始めたばかりのため、小規模な実験を行いながらGemsエコノミーを徐々に改良する反復フレームワークを採用しています」と書かれていました。
変遷と展望:シードラウンドで300万ドルを調達、丁寧なユーザーインタビューを元に生まれたプロダクト
◼️変遷
Intractは2022年7月にシンガポールを拠点に誕生したスタートアップです。きっかけは2021年の夏に訪れたNFTバブル期にweb3に参入した3人の開発者ギルドです。
そこからコミュニティの支援を行う中で、エアドロップなどによる当時の成長ループが持続可能ではなく、必ず失敗することをすぐに認識しました。最初の推進力としては良かったのですが、実際のプラットフォームの使用には非常に悪かったです。
そこから健全な成長をサポートするプロダクト構築への仮説検証が始まりました。
招待制の限定コミュニティの構築、議論
1対1のビデオチャットによるインタビューや議論
AMAや共同ブログの執筆
開発計画やロードマップの共有と壁打ち
定量的な利用データの分析
リファラルマーケティング
etc..
これらを通してプロダクトを磨き上げています。
なので、Intractはプロダクトとしての「Intract」とweb3コミュニティを研究する「Intract Growth Community」の2種類が存在しています。今回リサーチで紹介したのはプロダクトの「Intract」です。コミュニティでのフィードバックなどをプロダクトに落とし込んで成長させています。
◼️展望
2023年10月にシードラウンドで300万ドルを調達しました。
Documentには今後の予定として以下の機能追加が掲げられていました。
アルファフィード
最高の仮想通貨作成者とチェーンデータを集約した、一口サイズの「実用的な」web3 ニュースレター。クエスター ソーシャル ネットワーク
仲間のクエスターと交流し、彼らの勝利戦略をコピーし、独自の影響力を築きましょう。Intract Academy
web3コミュニティを探索するWeb2 ユーザー向けに設計された厳選された学習体験。Gemsエコノミーの強化
ガス料金の直接支払い、報酬倍率などを通じて、ユーザーがジェムを燃やすためのより多くの道を開きます。Intract Reward Store
ユーザーがバンパートークン、NFT、IRL 報酬 (ギフトカード、カンファレンスパスなど) を請求するためのストア。
Web2ユーザーが学習しながら経験値や報酬を獲得できるプラットフォームであり、ソーシャルな関係を築くことができる場所へと進化させていくことが予想されます。
考察:web3は教育とロイヤリティ醸成を同時に実現する!?
最後は考察です。
web3を利用した教育やロイヤリティ構築プラットフォームは現在も多数存在しており、すでに非常に大きな影響力を誇っています。次世代のトレンドの1つに挙げる人も多いです。
僕自身も非常に親和性の高い領域だと感じていますし、web3だけの領域じゃなくて一般の教育プラットフォームにも利用されていくように感じています。
web3を活用すると、あらかじめ設定したルール(クエストやクイズ)をもとに大規模に顧客のオンボーディングを実施可能です。しかも、誰がどこまでのルールをクリアしたのかの情報を自社で管理する必要もありません。顧客が自発的にクリアして報酬を獲得してくれます。
現在はweb3ネイティブのプロジェクトがオンチェーン情報やSNSのタスクをもとに報酬を配布する事例が多いですが、これはWeb2の会社にも利用できるはずです。まさにスタバのロイヤリティプログラムはそのような形を取っていて、購入金額やスタバのクイズの回答によって限定NFT(スタンプ)を配布しています。
市況もあるのでまだ仕方ないですが、この辺りの仕組みがマスにハマる形で生まれた時、web3を活用した教育&ロイヤリティ醸成のプラットフォームが一気に広がる感覚があります。まだ個人的にも言語化できていないのですが、既存のオンチェーンベースのロイヤリティの仕組みと全くかけ離れてはいないものの、完全な延長線上にもないような気もしています。
ReFi系は金融リテラシー向上のためにウォレットソリューションと同時に教育コンテンツを提供し、学習に応じてトークンを配布しているプロジェクトも幾つか存在しています。そんな感じで、ロイヤリティ軸も熱いですが、教育軸も熱いんじゃないかと思っています。
そしてこれは相反するものではなく、教育軸でスタートしたプラットフォームでも、報酬としてトークンをもらっているとそれがロイヤリティ醸成に繋がるので、結果的にブランドへの愛着や帰属意識にもつながります。
Learn & Earnにして、勉強することで報酬を獲得するのは、知識と報酬の2つが手に入ります。そして報酬を独自トークンにすることで自社へのロイヤリティも高まります。
少し議論が空中戦になってしまっていますが、「web3とロイヤリティ&教育は相性が良いこと」、「これはマスに広がる可能性があること」、「教育とロイヤリティは相反する存在ではないこと」、「実は教育基点から始まりロイヤリティに移行していく方が良い」ということを考えています。
この辺りは既存のプラットフォームの動向も見つつ、より言語化を進めていきたいです。以上、本日は「Intract」についてリサーチしました!
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