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【相互運用性】基礎単語の解説

国際物流から理解する"チェーン同士が繋がる世界"

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mitsui
Dec 07, 2025
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おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。

毎週土日の昼には基礎単語解説記事をお届けします。各記事をサクッと読めるような文量にして、改めて振り返れる、また勉強できるような記事を目指していきます。

本日は「相互運用性」です。

ぜひ最後までご覧ください!


はじめに:なぜ相互運用性が重要なのか

ブロックチェーン技術は多くの期待を集めていますが、実際には大きな問題があります。それは「孤立」です。Bitcoinはビットコイン、Ethereumはイーサ、Solanaはソルの世界。各ブロックチェーンはそれぞれ独立した島のように存在しており、相互に通信することができません。これがweb3のUXと実用性を大きく制限しています。

その解決策となるのが「相互運用性(Interoperability)」です。

これは異なるブロックチェーン同士が通信し、資産や情報を交換できるようにする仕組みです。相互運用性がなければ、ユーザーは特定のチェーンに閉じ込められたままです。しかし相互運用性があれば、ユーザーはチェーンを意識することなく、シームレスに機能を利用できるようになります。これはweb3の未来を大きく左右する最重要課題です。

Web2の相互運用性:メールは送れるが、SNSと金融は”島”のまま

相互運用性の重要性を理解するには、Web2の現状を見るとわかりやすいです。Web2にはいくつかの相互運用性の成功事例があります。メールシステムはその最たるものです。GmailからYahooメールへメールを送ることができます。これは別々の企業によって運営されているシステムが、共通の規格(SMTP、IMAP等)によって相互に通信できるからです。

しかし、Web2の他の領域ではこうした相互運用性が機能していません。SNSプラットフォーム間では、データを自由に移動させることができません。Xのフォロワーをインスタグラムに移すことはできないのです。銀行間でも同様で、ある銀行から別の銀行への資金移動には手続きが必要で、決済システム自体の統合はされていません。

つまり、Web2は「一部では相互運用性がある」が「多くの領域では完全に孤立している」という状態です。これがWeb2の限界を表しています。各プラットフォームはロックイン効果によってユーザーを囲い込み、市場競争に弱くなり、ユーザーの自由度が損なわれているのです。

国際物流で考える相互運用性:コンテナ規格が世界を変えた

相互運用性の本質を理解するには、国際物流の歴史が参考になります。1950年代以前、国際輸送は極めて非効率でした。港から港へ、国から国へ荷物を移すたびに、積み直しと再検査が必要だったからです。取引コストは膨大で、時間もかかりました。

この状況を劇的に変えたのが、20フィートコンテナのISO規格統一です。統一された規格のコンテナがあれば、どの港、どの国でも同じように扱うことができます。積み直しが不要になり、検査も簡略化され、処理速度が数倍に高まりました。結果として、国際物流のコストは劇的に低下し、グローバルな貿易が爆発的に増加しました。

物流の相互運用性の本質は「規格統一」にあります。これはブロックチェーンにも同じことが言えます。ブロックチェーン間に共通の規格があれば、資産の移動が簡単になり、チェーン間の取引コストが劇的に低下し、web3の実用性が飛躍的に向上するのです。しかし現状では、そうした統一規格がまだ存在しません。

チェーン間の相互運用を阻むもの

なぜ、ブロックチェーン間の相互運用性が難しいのでしょうか。理由は複数あります。

第一は「コンセンサス方式の違い」です。Bitcoinはプルーフオブワーク、Ethereumはプルーフオブステーク、他のチェーンは独自のコンセンサスメカニズムを持っています。異なる合意形成メカニズムを持つシステム同士が、互いの状態を信頼するのは困難です。

第二は「アドレス形式やVMの違い」です。各チェーンは独自のアドレス形式を持ち、スマートコントラクト実行環境も異なります。これが相互操作性を複雑にします。

第三は「信用の問題」です。最も根本的な課題は、各チェーンが「信用するもの」が異なるということです。Bitcoinのノードは特定の他チェーンのデータを信頼する理由がありません。各チェーンは独立した信用体系を持っているからです。

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