おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「InfoFi最前線」というテーマで、KaitoとCookieの最近のアップデートの情報について解説します。
📝InfoFiとは?
🟩Kaito Earn機能が登場
🍪Cookie Snapsが登場
💬InfoFiの課題と可能性
🧵TL;DR
InfoFiは「情報を資産化し、トークン経済と結びつける」概念で、KaitoのYapsプログラムが代表例。
Kaito Earnでは、Yapポイントに応じた報酬キャンペーンを「Rewards Station」で一元管理し、$KAITOや$sKAITOで継続的にインセンティブを提供。
Cookie Snapsはcookie.fun上の選抜制コミュニティで、プロジェクトごとの高品質投稿にSNAPSポイントを付与し、リアルタイムリーダーボードでトークンやNFT報酬を配布。
両者は評価方法や参加モデルで異なるポジショニングを取りつつ、InfoFi市場の拡大とマーケティング民主化を推進する点で共通している。
📝InfoFiとは?
まず前提となる「InfoFi」について改めて説明します。
「InfoFi」はKaitoが流行させた概念であり、「Infomation」+「Finance」を組み合わせた単語です。GameFi等と同じく「Infomation(情報)」分野にブロックチェーンを持ち込み、ファイナンス要素を持たせました。これは、情報を単なるコミュニケーションの手段にとどめるのではなく、一種の資産として評価し、それをトークンエコノミクスと結びつける考え方です。
具体的なプロダクトとしては、Kaitoが構築しているYapsがわかりやすいです。
暗号資産分野では情報が各種SNSやフォーラムに散在しており、必要な知見を得るのに時間がかかるという問題(情報の断片化)が指摘されてきました。Kaito AIはこの課題に対処するために、独自のAI検索エンジンを開発するとともに、ユーザーコミュニティの力を借りて質の高い情報を集める仕組みとしてYapsプログラムを開始しました。Yapsは「注意力(アテンション)のトークン化」をコンセプトに、暗号資産コミュニティ内での貢献や影響力をポイント(Yapポイント)という形で数値化します。
登録方法はシンプルで、自身のXを連携します。その後、X上で会話を行うと自動的にポイントが貯まっていくという仕組みです。詳細のアルゴリズムは公開されていませんが、以下の3点がポイント獲得には重要なようです。
ボリューム(Volume / Proof-of-Work): 暗号資産に関連する投稿の量です。より多く関連トピックについて発信すればポイント増になります。
エンゲージメント(Proof-of-Exchange): 投稿が実際に生み出した反応の質と量です。いいねやリツイートなど実在するユーザーによる反応が多く、かつその反応者の評価が高いほどポイントが増えます。特に「スマートフォロワー」と呼ばれる影響力の高いフォロワーからの反応は高く評価されます。
内容の有益性(Proof-of-Insight): 投稿内容の洞察力や関連性の高さです。単なる量産ではなく、見識に富み焦点の定まった投稿が高ポイントとなります。KaitoのAIは投稿のテーマ適合性や独自性を解析し、質の高い議論を評価します。
ポイントはリアルタイムで計測・更新され、専用のYapperリーダーボード上でユーザーごとのスコアやランキングが公開されます。
この仕組みを用いてインフルエンサーの情報を正しく集約し、次に盛り上がりそうなトークンを確認できる「Pre-TGE Area」や、
プロジェクト毎に積極的に呟いている人を把握できる「Yapper Leaderbords」などの仕組みを実装しています。
何となくイメージが伝わったかと思うので、ここから、最近のKaitoのアップデートと、新しくInfoFiに参入したCooke.funの動きについてもまとめながら、今後のInfoFiがどうなっていくのかについて考察していきます。
🟩Kaito Earn機能が登場
Kaitoは2025年3月にRewards Stationと呼ばれる機能を発表しました。これはKaito上で実施中の様々な報酬キャンペーンを一元的に閲覧・管理できるハブです。
Kaitoチームはこれを「Kaito Earnエコシステムのフェーズ1」と位置づけ、今後段階的にEarn機能群を拡充していく計画を公表しています。
なので、現在のサイトを見ると表記は「Kaito Earn」に統一されており、Rewards Stationで実現できていたことがこちらのページで確認できます。
イメージはGalaxyのような形であらゆるプロジェクトのキャンペーンが並んでいます。異なる点はKaitoのYaps機能を元にしている点です。つまり、X上で自プロジェクトについて呟いてくれてる人にYapポイントが溜まり、ランキングされます。
そのランキングに応じて報酬が分配される形です。
これは単なるSNSフォローや拡散と異なり、価値あるコンテンツを影響力を持つインフルエンサーが継続的に呟いてくれる仕組みであり、プロジェクト側からしても非常に有意義なマーケティングとなります。また、呟きだけでなく流動性の提供やリファラルなど、一般的なマーケティング戦略も一緒に実施できます。
Kaito Earnのコアコンセプトは、「適切なプロジェクトと適切なコミュニティをマッチングし、Win-Winの価値交換を生み出す」ことです。AIによるデータ分析を駆使し、各ユーザーの関心や専門性にマッチしたキャンペーンを提示することで、プロジェクト側は効果的にリーチし、ユーザー側は興味のある領域で報酬を得られるよう工夫されています。
さらに、Kaitoはこれらのキャンペーンが円滑にワークするように$KAITOトークンと連動させています。
まずはエコシステム全体で「Yapper Payouts」と呼ばれる仕組みが存在します。これは毎週行われる報酬分配で、各週のトップYapper上位50名+次点のEmerging Yapper 50名に対し、合計$5,000相当の$sKAITOトークン(ステーキング形式のKAITO)が配られる仕組みです。これによってプラットフォーム全体での参加を促します。
続いて、Kaito Earnでもトークン連携をしており、プロジェクトによって連携方法はやや異なりますが大体が「$sKAITOホルダーへのエアドロップ、またはポイント獲得ブースト」の特典がついています。
この仕組みによって、$KAITOは$sKAITOホルダーの数が増えていき、市場の供給量が減少していくことでトークン価格も安定します。
キャンペーン需要は継続的にあり続けるので、これはかなり持続可能性があるトークンエコノミクスのように感じますね。
🍪Cookie Snapsが登場
続いて、「Cookie Snaps」の紹介です。
これはCookie.funの新機能です。元々Cookie.funはAIエージェント市場のデータ基盤を提供していましたが、より広範囲の市場にアプローチするためにSnapsと呼ばれるInfoFi市場に参入しました。
Snapsでは、プロジェクト側がキャンペーンを立ち上げ、参加クリエイターは指定プロジェクトに関する質の高い投稿を行うことでポイント(SNAPSポイント)を獲得します。SNAPSポイントは投稿内容のプロジェクトへの貢献度(マインドシェア)や内容の質・エンゲージメント度、そしてクリエイターの忠誠度(特定プロジェクトに専念しているか)など複数の要素をAIで評価して付与されます。
また、各プロジェクトごとにリアルタイムのリーダーボード(順位表)が用意され、投稿が評価されると数秒以内にスコアに反映されます。このリーダーボードで上位に入ると、エアドロップやNFT、ホワイトリスト権などキャンペーン毎に定められた報酬を受け取ることができます。
また、Kaito Earnのようにプロジェクト毎がキャンペーンをできる機能も存在します。まず第一弾としてSparkと共同でキャンペーンを実施しています。
Sparkに関するコンテンツを投稿することで「Spark SNAPS」を獲得できます。
少しややこしいのですが、Snapsにはエコシステム全体の「SNAPS」ポイントとキャンペーン毎の「キャンペーンSNAPS」が存在します。合計で自身のSNAPSポイントになるようです。
今後、幾つかのアップデートが予定されており、プロジェクトの詳細を簡単にリサーチできるDeep Research機能や、前身のCookie Affiliateで行っていた「有望プロジェクトへのKOL投資機会提供」をSnapsに組み込む構想も示唆されています。
💬InfoFiの課題と可能性
最後は総括と考察です。
さて、InfoFiの最前線にいるKaitoの新機能Kaito EarnとCookieのCookie Snapsを紹介しました。方向性は近いですが、改めて違いを簡単に整理してみます。
大きく分類すると違いは「評価方法」にあります。誰がどのように評価するのか、ここがInfoFiの肝になります。Snapsの方が参加者を限定してオープンに行っているものに対して、Kaitoは誰でも参加できアルゴリズムは非公開で行っています。
どちらが成長していくのかわかりませんが、個人的には1つに集約されるのではなくて、並列して別のポジショニングで進化していくのではないかと思っています。それぞれの特徴を持ち、プロジェクトが選ぶ、または双方でマーケティングを実施する流れになるのではないかと思っています。
少し話が抽象化するかもしれませんが、個人的にこの辺の思想の違いこそがリサーチしていてめちゃくちゃ面白い点で、同じInfoFiで同じようなビジョンで同じようなキャンペーン型に見えても、根っこの思想が異なるとそれが機能に現れて実は全然違う体験を作り出していることがあります。ブロックチェーンプロジェクトの場合、その思想が機能だけでなくトケノミクスにも出てくるので、深くリサーチする楽しさはここにありますね。
話を戻すと、僕はInfoFiにめちゃくちゃ可能性を感じています。このKaito EarnやSnapsの仕組みによってKOLマーケティングなどが代理店を通さなくて良くなる気がしますし、この仕組みってブロックチェーン関係なく既存のWeb2領域にも当て嵌められるので市場規模がめちゃくちゃデカいです。
Web2領域でも同じようなサービスはありそうですが、おそらく支払いの透明性と手数料の安さでKaitoなどが勝ちます。普通の企業でもUSDC払いでキャンペーンを実施でき、グローバルに低手数料で即座に支払いが可能になります。
また、Polymarketなどの情報発信や正誤チェックなどの領域もブロックチェーンを使った方が良いと考えているので、情報×ブロックチェーンのInfoFiはかなり可能性を持つなと思ってすます。
Loudの説明でも書きましたが、貢献を可視化してその人の報酬を配布できるのはマーケティングプロセスの透明化と民主化なのでもっと加速していきそうです。その基盤にInfoFi系のプロダクトが採用されていく未来は考えられるので、かなり大きな市場規模になるのではないかと予測しています。
もう少し自分でもユーザーとして色々触ってみたいと思います!
以上、「InfoFi最前線」レポートでした!
🔗参考リンク:Yaps / Cookie
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