【GMO NIKKO NFT事業推進室】有名IPや企業のNFT活用を推進!その中で見えてきたNFT活用実態・課題・未来を深掘り!
今日は「GMO NIKKO NFT事業推進室」の佐々木さんにインタビューさせていただき、その内容も踏まえて概要から展望までを解説していきます。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「GMO NIKKO NFT事業推進室」の佐々木さんにインタビューさせていただき、その内容も踏まえて概要から展望までを解説していきます。
«目次»
- GMOグループ全体のweb3事業について教えていただけますか?
- 所属されている”GMO NIKKO NFT事業推進室”について詳しくお聞きしてもよろしいですか?
- これまでにどのようなプロジェクトを手掛けられてきましたか?
①芸能事務所:TopCoat様
②アーティスト:Repezen Foxx様
③Jリーグ:名古屋グランパス様、清水エスパルス様
- 2年近くNFTの企画をしてきて感じた気づきや課題感はありますか?
- 最後に展望を聞かせてください。
- GMOグループ全体のweb3事業について教えていただけますか?
「GMO AI & Web3株式会社」のウェブサイトに掲載されている「GMOインターネットグループのテクノロジーとプロダクト」の「for Web3」、こちらがわかりやすいと思います。
暗号資産、ステーブルコイン、セキュリティ、決済、EC、メタバース、NFTと様々なWeb3関連サービスを提供しています。またこれがすべてではなく、掲載されていないものもあります。
グループ全体となるとぶっちゃけすべては把握できていないです。グループ連結100社以上ありますので、AIもそうですが、まず個社ごとに研究開発を行い、Web3領域を強化しています。もちろんグループシナジーを発揮できるところは一緒に取り組んでいます。
私が所属しているGMO NIKKOでは「NFTプロデュース byGMO」というサービスを提供していますので、NFTマーケットプレイスである「Adam byGMO」を開発・運営しているGMOアダム社との連携が一番多く、機能開発などについても進言させてもらっています。また暗号資産の販売所・取引所の「GMOコイン」、決済インフラの「fincode」、NFTドメイン登録代行の「CryptoName」あたりとも比較的コミュニケーションが多いです。
- 所属されている”GMO NIKKO NFT事業推進室”について詳しくお聞きしてもよろしいですか?
GMO NIKKOはデジタルマーケティングを強みとする総合マーケティング支援会社で、お客様の先にいるユーザー、生活者の心を動かすアイディアを企画提供しています。お客様の課題解決の手段としては、Google、X(旧Twitter)からYouTube、TikTokなど、インターネットメディアの広告活用がメインですが、そこに新しい手段としてメタバースやNFTの活用に取り組んでいます。
NFT事業の取り組みは比較的遅いのですが、2021年7月から準備を始め、同年10月に「NFT事業推進室」を正式にスタートさせました。NFT事業を始めた背景の一つとして、グループのNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」があります。「Adam」が2021年8月31日にローンチしていますので、それにあわせる形で「Adam」の認定代理店となり、「Adam」に出品いただく坂本龍一様や小室哲哉様のサポートをさせていただいたところからスタートしています
※参考:「Adam byGMO」認定代理店:https://adam.jp/guide/b2blp_1/index.html
現在は「NFTプロデュース byGMO」として、企業やIP・コンテンツホルダーに、NFTを活用したファンマーケティング支援を行っています。タレント、アーティスト、スポーツチームなどがプロモーションやマーケティングの一つの手段としてNFTを活用することで、その先のファンに新しい体験や新しいコミュニケーションを提供しています。
また取り扱うマーケットプレイスも広げており、「Adam」だけでなく、マルチチェーンの「tofuNFT」、LINE連携が容易な「LINE NFT」とも正式に提携しており、その他提携していないもの含め、お客様の課題に応じた最適なNFTマーケットプレイスを提案することが可能です。
「Adam」では保有後に出庫することでEthereumに書き込まれ、オンチェーンとなりますが、それまではオフチェーンのサービスであり、ウォレット不要です。我々のお客様の先にいるファンは、まだまだNFTが浸透していないですし、ほとんどの方がウォレットを保有していません。よって、NFT活用するIP・コンテンツホルダーにとっても、NFTを購入するファンにとっても、ウォレット要らずの「Adam」が初めてのNFTとしては最適だったりします。
ただやはりスタートからオンチェーンにすべき案件だったり、海外向けの案件もあったりしますので、そういったときは「tofu」や「LINE」をお勧めすることになります。
「LINE」はパブリックチェーンではありますが、約9500万人と言われるユーザーが利用する可能性がありますので期待しています。
また「OpenSea」という選択肢もあるのですが、贋作・盗作が多いと言われている中、我々のお客様である大手企業や著名タレントやスポーツクラブのコンテンツをそこに並べるわけにはいかないという想いもあり、積極的なご案内はしていません。
改めてになりますが、GMO NIKKOの「NFTプロデュース byGMO」は、複数のマーケットプレイスが扱え、最適かつ安心・安全なNFT活用を提供できる数少ないサービス、とご認識いただければ嬉しいです。
- これまでにどのようなプロジェクトを手掛けられてきましたか?
①芸能事務所:TopCoat様
これまで所属アーティスト3名とご一緒しています。TopCoat様自体が新しいことに積極的であり、アーティストご自身と担当マネージャーさんにもご理解いただき、ファンに丁寧に説明いただきながら進めています。
菅田将暉さんはライブツアー最終日の参加証明となるNFTを無料で配布し、約3,000名に受け取ってもらいました。
杉野遥亮さんはカレンダーの未公開アザーカットをNFTとして200点販売し、即日完売しました。
萩原利久さんは趣味であるイラストをNFTとして販売したり、撮り下ろし写真NFTを「Adam」の新機能「抽選販売」を使って販売しました。また少し異色な企画として、「萩原利久があなたの似顔絵を描きます権」付きNFTをオークションで出品し、1,801,000円で落札されています。8月上旬には撮り下ろし写真NFTが「Adam」の新機能「抽選販売」にて販売されています。
②アーティスト:Repezen Foxx様
Repezen Foxx様のライブ参加証明NFTをサポートしています。各ツアー、各会場ごとに違うデザインを無料で配布しており、ファンのみなさんにライブの記念グッズのように楽しんでもらっています。
初めて実施した今年3月の代々木体育館でのライブでは、入場時にNFTを取得可能なQRコード付きポストカードを配布しました。ちょっとしたハプニングでライブ時にNFT取得を促すアナウンスはしてもらえなかったのですが、SNSなどでのフォローもあり、結果としては約2,500名、ポストカードを受け取ってもらった方の65%ほどに取得いただくことができました。
所得率が高かったのは、NFTの画像がSNSヘッダーなどで使えるものだったこともありますが、取得手段にポストカードを利用したことが大きかったと推測しています。ポストカードをお土産として持ち帰ってくれたようで、ご自宅などでゆっくりと取得されたのか、ライブ終了後しばらくしてからの取得が多かったです。
③Jリーグ:名古屋グランパス様、清水エスパルス様
両クラブの今シーズンリーグ戦のすべてのホームゲームにて観戦証明NFTを無料配布しています。
試合ごとに日付や対戦相手、イベントの内容などをコンテンツのデザインに盛り込んでおり、紙チケットの半券を残すような感覚で観戦の思い出としてNFTを受け取ってもらっています。該当NFTをコレクションすることでプレゼントが当たるなど、スタンプラリーのような展開も予定しています。
また、NFTコレクション「VeryLongAnimals(通称ベリロン)」とのコラボレーションもそれぞれで展開しています。NFT界隈の皆様にJリーグのクラブがNFTを活用していることを知ってもらう良い機会になったと思います。
名古屋グランパス様独自の企画としては、シーズン開幕時にホームタウンの商店街や駅などで掲示したポスターと連動したNFTも展開しました。ポスターごとに選手が異なるため、各地域を回ってNFTをコレクションされたファンもいたようで、地域に還元できるNFT活用になりました。他にも所属選手の代表選出記念やワールドカップ出場記念NFT、ファンクラブ限定のNFTなど、様々なシーンでNFTを活用いただいています。
清水エスパルス様では、ベリロンコラボの所属選手モデルを展開しており、背景金色キラキラバージョンは選手自身にプレゼントしました。
その選手自身のNFT取得体験をクラブ公式YouTubeで公開しており、ファンに選手を通じてNFTの取り組みを理解いただいています。尚、選手にプレゼントしたものとは背景が異なるバージョンを販売しており、ファンが推しの選手が保有しているものと似たNFTを保有できるようにしています。
ちなみに先日(2023年7月16日)国立競技場で清水エスパルス様のホームゲームが特別に開催されたのですが、ベリロンファウンダーのAkim氏が遊びに来てくれて、ベリロンパルちゃんと出会うなど、大いに盛り上がりました笑
- 2年近くNFTの企画をしてきて感じた気づきや課題感はありますか?
これまた大いにあります笑
NFTを無料配布しても受け取っていただけない方が多く、NFTに触れていただく最初のハードルが高いです。ウォレット不要の「Adam」でも会員登録は必要となるので、そこで離脱してしまう方が多い。ウォレット作成も会員登録もひと手間、ふた手間あるので、そこにストレスを感じる人は多い印象です。またそのハードルを超えてくれたとしてもそのウォレットや「Adam」などのサービスが日常使いのものではないので、どこで保有しているのか覚えてなかったり、保有したこと自体忘れてしまったり、NFT迷子もあるあるです。
実際、Jリーグの試合会場では、保有を試みるものの「面倒だからいいや」という人や、2回目以降の人が「あれかー、どこだっけ?」と言っているのを何度も目にしています。
これは実用性のなさ、利便性のなさが問題です。ファンや生活者が欲しいと思える価値、ユーティリティのあるものになっていないことと、その価値やユーティリティを簡単に使える環境、機会を用意できていないことが課題です。この課題解決に自社だけでなく、GMOインターネットグループ、そしてWeb3界隈のみなさんと一緒になって取り組めればと思っています。
- 最後に展望を聞かせてください。
NFT活用の市場をつくりたいです。これまではNFTを多くの方に触れていただくために、著名なタレントやアーティスト、スポーツチームに対して、その先のファンとの新しいコミュニケーション手段としてのNFT活用を支援してきました。今後もIP・コンテンツホルダーのファンマーケティングにおけるNFT活用支援は継続していきますが、これからは一般企業にプロモーション手段のひとつとしてNFTを活用いただきたいです。
すでに事例もありますが、キャンペーンのインセンティブやイベントの参加券として活用いただくイメージです。現時点ではそのすべてをNFTにする必要はないので、様々なプロモーションの一部をNFTに置き換えていきたいです。
また、NFT活用の市場をつくると同時に、矛盾っぽいですが「NFT」という言葉が表に出てこない状態にしたいです。NFTは技術であって手段でしかないので、裏側で使われていれば良くて、ファンや生活者がNFTであることを知らずに買って、持って、使っている状態になって、ようやくマスアダプションと言えると思っています。
- ありがとうございました!
<取材後記:mitsui>
すでに大きなファンや顧客を抱える大企業や著名なタレントさんとのNFTだからこその発見や学びをお伺いすることができて非常に勉強になりました。
NFTはマスにとってどういう印象で受け止められているのか、マスアダプションするにはどうすれば良いのか、こういった議論はTwitterでも見かけますが、やはり実体験に基づく学びや考察はとても大切だと感じました。
個人的には清水エスパルスさんとの企画で、選手×ベリロンコラボのNFTを作り、それを選手に説明しその場で受け取ってもらい、その様子をYouTubeで公開したこと、こういった流れは非常に面白いなと感じました。
ファンからすれば第三者の発信よりも応援しているクラブや選手からの発信の方が耳に届きます。選手がNFTを保有することでNFTを理解するきっかけにもなり、NFTが盛り上がった時に選手自身も利益となるので、発信も増えるかもしれません。
こういった利害関係を調整し、丁寧にNFTについての勉強会や発信活動を行っていくことがNFTのマスアダプションに繋がっていくのかなと感じました。
インタビューさせていただいたGMI NIKKOの佐々木さん、どうもありがとうございました!
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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