【Ethervista】Pumpfunの課題を解決するEthereum上の新プロジェクト / 流動性ロック期間・カスタム固定手数料・ETH手数料などの特徴を持つ / @ethervista
PumpfunよりアップデートされたプロトコルがEthereumにもミームの波を起こすかもしれません。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Ethervista」についてリサーチしました。
🔵Ethervistaとは?
⚙️具体的な機能
💧供給量の減少する独自トークン$VISTA
📊オンチェーンデータを見てみる
💬ETHを爆発させる起爆剤となるか
🔵Ethervistaとは?
「Ethervista」は、Ethereum上に展開される新しいDEXプロトコルです。2024年8月31日にリリースされた非常に新しいプロジェクトですが、その斬新な機能から大きな注目を集めています。
Pumpfunの競合と表現されることも多いですが、ポジションとしてはPumpfunのようなトークンローンチプラットフォームでありながらも、AMM(自動マーケットメイカー)の機能も持ちます。
そして、既存のPumpfunのようなトークンローンチプラットフォームとAMMの課題を解決するために作られました。
では、その特徴を1つずつ見ていきます。
①5日間の流動性ロック期間
「Ethervista」はトークンがローンチされてから5日間の流動性ロック期間があります。これはトークン作成者がいきなりトークンの流動性を引き出せないという期間のことを意味します。
まず、トークン発行者(クリエイターと表現)はName、Supply、Symbolを設定し、追加のメタデータやWebサイトなどを登録します。トークンはフェアローンチ方式で、事前にアロケーションを設定することはできず、100%の流動性が市場に放出されます。
フェアローンチの仕組みはPumpfun等でも実施されていますが、実質的にはトークンをローンチした瞬間にトークン発行者は市場から買い上げることが可能です。誰にも気づかれない1番最初に買い上げて、そこからSNS等でアピールして価格をパンプさせて一気に売り抜ける行為が多発しています。
「Ethervista」はこの現象を課題と捉え、またトークン発行者による売り抜けはトークン発行から数日以内に発生するという事実に対処するために、5日間の流動性ロック期間を設けています。
②手数料設定
ここも大きな特徴です。
クリエイター(トークン発行者)はトークンの初期設定において取引手数料を設定できます。購入時と売却時の手数料で、それぞれLP(流動性供給者へのフィー)とプロトコルフィーの2種類を設定します。
この際、%ではなくUSDベースの金額で設定します。
例えば、以下のような設定が可能です。
購入時
LP-Fees:5ドル
Protocol-Fees:5ドル
売却時
LP-Fees:10ドル
Protocol-Fees:10ドル
取引に対して5ドルや10ドルは高いと感じる人もいるかもしれませんが、固定の金額の取引手数料は%よりも大口投資家の取引にとっては非常に安価な手数料となります。また、高額な手数料を自由に設定することはできますが、結局は市場で取引されないとクリエイターの収入にもならないので、良い落とし所を探すインセンティブが働きます。
手数料の分配はスマートコントラクトで自動で実施されます。LP-FeesはLP提供者に送られ、預け入れている資金量に応じて分配されます。LP提供者はRewardsタブから即座に報酬にアクセスできます。この際、「オイラー量」に基づく数学モデルを使用して流動性報酬を分配するのですが、ここは完全に数学の世界の話になり少し難しいので割愛します。気になる方はXに投稿されているホワイトペーパーをご覧ください。
そして、Protocol-Feesはデフォルトではクリエイターに分配されるのですが、正確に言えばProtocol Addressという形で送金されるコントラクトを指定できます。このスマートコントラクトは、トークンの買い戻しやバーン、コミュニティのトレジリー構築など、さまざまな用途を設定できます。
加えて、取引時にはこの手数料に加えて1ドルの「Ethervista」自体への手数料が発生します。この資金はEthervista DEXと$VISTAの継続的な開発に割り当てられます。
③ETHが取引手数料
取引に付随したもう1つの特徴です。
「Ethervista」での取引手数料は全てETHです。他のプラットフォームでは取引するトークンが手数料として徴収されます(ガス代は除く)。しかし、「Ethervista」は ETHで支払われるカスタム手数料を実装しています。この手数料が上記で設定した金額であり、分配対象となる報酬です。
この仕組むによって、クリエイターにとって長期的な取引量の増加がインセンティブに繋がります。
発行した独自トークンが手数料で分配されたら、取引されるほどクリエイターのトークン保有量が増えてきて、売り抜けするインセンティブが発生してしまいますが、ETHでの報酬なので取引されるほど安定した報酬を獲得することに繋がり、トークンを盛り上げ続けた方が良いと考えるインセンティブが働きます。
④設定をロック可能
そして、クリエイターはこれらの取引手数料の設定などを透明性とセキュリティを確保するために、永続的にロックできます。
また、ERC20 transferFrom関数をEthervistaルーター アドレスに制限することで、トークン取引を「Ethervista」のみに制限することも可能です。
以上が大きな特徴となります。
総じて、「Ethervista」は現在のブロックチェーンエコシステムは継続的な成長と回復力を育むために必要なインセンティブが欠けており、トークン作成者が流動性を急速に引き出し、裁量的にトークンを売却することで利益を優先するよう奨励されている現状を解決するためにこのような長期的なインセンティブが働くような特徴を設定しています。
⚙️具体的な機能
では続いて具体的な機能を見ていきます。上記で説明した内容が大枠ですが、改めてUIと共に説明していきます。
①Swap
②流動性供給
③トークン発行
④リワード獲得
⑤EXPRORER
Ethervista内に存在するトークンの情報を検索すると出力してくれます。まだトークン数は少ないですが、今後増えてきた際には検索窓として利用できます。
⑥SuperChat
サービス内のライブチャットです。これにより、ユーザーは迅速に情報を交換できます。SuperChatへのアクセスは、ユーザーが保有する$VISTAトークンの数に応じて階層化されています。
⑦その他
ホワイトペーパーにも記載されていましたが、レンディング、フラッシュローン、先物などの展開も予定されています、また、L2への展開や独自トークンのCEXリスティングなども計画されているとのことです。
💧供給量の減少する独自トークン$VISTA
「Ethervista」は独自トークン$VISTAを発行しています。
$VISTAは総供給量100万トークンであり、時間の経過とともに流通供給量を減らすメカニズムが組み込まれています。先ほど「Ethervista」の取引手数料として1ドルが発生すると書きましたが、その一部が$VISTAのバイバック&バーンに利用され、供給量が減少していきます。
公式Xでは定期的にその情報が発信され、1日目に$200,000、3日目に$63,000、6日目に$156,000がバーンされています。
CoinGeckoによれば、現在の総供給量は「973,826」となっており、リリースから1週間ほどでおよそ27万トークン(2.7%)がバーンされた計算となります。
今後も取引の度にバーンされていき、どんどん供給量が減少していきます。
ただ、USDベースの手数料の一部からトークンをバーンしていくので、トークン価格が上昇すれば1回当たりにバーンされるトークン量が減っていきます。
この仕組みはよく考えられています。
というのも、逆にトークン価格が下がった際には多くのトークンがバーンされるので総供給量が減り、トークン価格上昇に繋がりやすいからです。そこまで事前に設計されているからこそ、価格が下がった時にも値上がりを期待して買い注文が入ることが想定され、結果的に需要が保たれ続けるのではないでしょうか。
ただし、現時点で$VISTAのユーティリティはSuperChatでのティアが変化するくらいで、特にありません。個人的には今後増えていくのではないかと予想しています。
具体的には保有量に応じて(ティアに応じて)取引手数料の減少や流動性フィーの向上など、です。
📊オンチェーンデータを見てみる
続いて、オンチェーンデータを見てみます。
まだ出来たばかりのプロトコルですが、TVLは$5.77M、デイリーの取引フィーは$40.99k規模になっています。
Duneを見てみます。
規模感的には少しずつ伸びていますが、さすがにPumpfunとはまだ桁が異なります。
現在大きな注目を集めており、成長も期待されていますが、懸念も存在します。
製作者がはっきりしないという点やコントラクト監査への不安もありますが、プロジェクトの作者が$VISTAを売却しているという憶測も飛び交っています。但し、この主張は不正確なものだったようで、現在は確認されていません。$VISTAを早期に発見した投資家が現金化して いるだけかもしれないとされています。
💬ETHを爆発させる起爆剤となるか
最後は考察です。
「Ethervista」はこの1週間でEthereumコミュニティで最も取引された取引所の1つとなり、クリプト界隈から大きな注目を集めました。その背景にはやはり、市場全体に既存のミームコインプラットフォームへの課題感があったからだと考えられます。
ただ、どこまで盛り上がっていくのかは未知数です。
コントラクト監査やファウンダーの与信など、プロダクト以外の未知数は一旦除外して、プロダクトがもし理想通りに進化した場合、ETHを爆発させる起爆剤となるかもしれません。
現在、ETHの価格は低迷しています。市況的な影響も多分にありますが、Dencunアップデート以降、ガス代が低下したこと、L2が躍進したこと、これらによってバーンされるETHの量が激減し、インフレが続いてしまっています。その結果、価格パフォーマンスがBTCは他のアルトコインと比較しても悪い状況が続いています。
ただ、こんな状況はアップデート前からわかっていたことで、例えばガス代が100分の1になったのならTx量を100倍以上にすれば良いだけです。
SolanaでPumpfunが爆発し、現在TronでSunPumpが爆発しています。ミームのプラットフォームはいずれのチェーンでも爆発し、大きなTx数の増加を盛り上がりを作っています。
最近はBaseチェーンでもPumpfunのようなプラットフォームが出来ており、そこも期待されていますが、「Ethervista」もETHを盛り上げる1つのきっかけになるかもしれません。
個人的には手数料の固定金額の設定と独自トークンのバーンの仕組みが面白いなと思っています。
僕はweb3プロジェクトの肝はインセンティブ設計であり、より深い観点で言えば、設計したインセンティブ設計によって考えられる人間の動きを想定させることにあると考えています。
先述したトークンバーンの仕組みはまさにそうで、価格が下がるとバーンされるトークン量が増えて供給量が減少するから価格が上がりそう。と、考える人がいそうだから価格が下がるときに大きめの買い注文を入れておこうと考えて実行する人が増えて、価格が本当に上昇するという流れが起こりそうです。
ポイントは「想定させる、考えさせる」という点で、これは株式投資の世界でもそうですが、もはや実態や論理よりも”XXが起きたら価格が下がるから買い注文入れる”というパターン化された人間心理によって価格がコントロールされていくことが多々起こります。
考えてみれば、取引するのは人間なので当然ですが、人間心理に刺さる、トレーダー心理に刺さるインセンティブ設計にすることが大事です。逆説的ですが、いくら実態としてそのように人間が行動したとしても、トークンエコノミクスの設計時点で値動きを想定させることが出来なければ実態が追いついてきません。
ピンポイントで言えば、優秀なトレーダーに「一般的な投資家やユーザーはここで儲かると思って取引するが、実はこの時点でこの動きをすれば儲かるだろう。」と思わせることが大事です。
トークンエコノミクスは当然公開された通りですが、1層の表面を読むインセンティブ設計と、深くまで読み取る2層目のインセンティブ設計が積み重なっているイメージです。そこまで想定させるトークンエコノミクスのインセンティブ設計が大事で、優秀なトレーダーや投資家はそこまで見抜くのでチームを評価し、お金を投じるのだと思います。
少し抽象的な話をしましたが、この辺りの観点からプロジェクトのインセンティブ設計を見ることは面白いなと思ったので、書いてみました。そして、「Ethervista」は個人的には注目して引き続き追いかけていきます!(当然ですが利用は自己責任でお願いします!ラグったりハッキングされても責任は持てませんので)
以上、「Ethervista」のリサーチでした。
🔗参考/画像引用先:HP / X
«関連 / おすすめリサーチ»
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
About us:🇯🇵🇺🇸🇰🇷🇨🇳🇪🇸の5ヶ国語で展開されるweb3ニュースレターの日本語版。「1日5分でweb3をより深く学ぶ」をコンセプトに、web3の注目トレンドやプロジェクトの解説、最新ニュース紹介などのリサーチ記事を毎日配信しています。
Author:mitsui @web3リサーチャー
「web3 Research」を運営し、web3リサーチャーとして活動。
Contact:法人向けのリサーチコンテンツの納品や共同制作、リサーチ力を武器にしたweb3コンサルティングや研修なども受付中です。詳しくは以下の窓口よりお気軽にお問い合わせください。(📩 X / HP)