おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
毎週土日の昼には基礎単語解説記事をお届けします。各記事をサクッと読めるような文量にして、改めて振り返れる、また勉強できるような記事を目指していきます。
本日は「デリバティブ」です。
ぜひ最後までご覧ください!
なぜデリバティブは難しく感じるのか
「デリバティブ」と聞くと、多くの人は複雑で難しい金融商品を思い浮かべます。実際、メディアではデリバティブが失敗や損失の原因として報道されることが多いです。しかし、その本質は驚くほどシンプルです。デリバティブとは、ただ「将来のリスクを取引する仕組み」に過ぎません。
デリバティブが誕生した歴史は、その本質を物語っています。中世のヨーロッパで、農家は収穫時期が来るまで、穀物の価格変動に不安を抱いていました。一方、パンを焼く職人や商人は、将来の穀物価格を固定したいと考えていました。この利益相反する両者が取引を始めた時、最初のデリバティブが誕生しました。
つまり、デリバティブは「誰かのリスク」を「別の誰かの投機機会」に変える技術です。
デリバティブとは?(全体像)
デリバティブの定義は「原資産の価格に依存して価値が決まる商品」です。株式、商品(穀物、石油など)、指数(日経平均、S&P500など)、暗号資産といった、あらゆる価格変動資産がデリバティブの対象になります。
デリバティブの本質を理解するには「リスクの移転(Risk Transfer)」という視点が必要です。ある者が持つリスクを、別の者が引き受ける。その交換プロセスがデリバティブの全てです。
農家にとって穀物価格の下落は致命的なリスクですが、投機家にとってそれは利益機会です。この「嫌なリスク」と「好ましい投機機会」を交換する場所がデリバティブ市場なのです。
先物(Futures)の基礎
先物契約の意味は非常にシンプルです。それは「将来の特定時点に、決めた価格で売買する約束」です。例えば、3ヶ月後に1ドルを100円で買うという約束を、今日交わすのです。この約束により、将来の価格変動リスクを排除できます。
ここで重要なのが「証拠金(担保)」とレバレッジの仕組みです。先物取引では、契約額全体を預ける必要がありません。なぜでしょうか。
理由は、先物の損益が「毎日」清算されるからです。これを「Mark-to-Market(時価評価)」と呼びます。毎日、市場価格の変動に基づいて損益を計算し、口座に反映させるのです。そのため、少額の証拠金でも取引が可能になるのです。
先物の役割は二重構造です。第一に「実需の安定化」です。農家は価格を固定することで、計画的な生産が可能になります。企業も同様に、原油価格の先物でリスクをヘッジできます。第二に「投機家による流動性提供」です。投機家が参加することで、市場は活発になり、農家や企業は好条件で取引できるようになるのです。


