おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「DeDeal」についてリサーチしました。
«目次»
1、DeDeal とは?
- 既存のエスクローの問題点
- DeDealの仕組み
2、これぞプロトコル!
DeDeal とは?
「DeDeal」は、クリプトとオフチェーンの価値の交換を第三者の仲介なしに行うための分散型エスクロープロトコルです。
“エスクロー“とは、
商取引の際に信頼の置ける第三者を仲介させて取引の安全を担保する第三者預託である。(by wikipedia)
メルカリ等でも利用されていますが、契約の仲介に第三者が入ることで不正を防ぐ仕組みをエスクローと呼びます。
エスクローが存在しない場合、売る人が代金だけ貰って発送しないもしくは全く別の商品を発送することが可能になります。買う人も同様で商品だけ貰って支払いをしないことが可能になります。これらを防ぐために第三者を設け、そこに支払いをデポジットすることで、不正をするメリットをなくし、詐欺的な行為を防ぐことができます。
DeDealはこのエスクローの役割を分散化(人ではなくスマコンに)する取り組みです。
■既存のエスクローの問題点
DeDealの仕組みの前にまずは既存のエスクローの問題点を解説します。前提を理解しておくことでDeDealが何を解決しているのか、なぜこの仕組みにしているのかが理解できますので。
WPより既存のエスクローとの比較部分を引用します。
・仲裁者による不正
・仲裁者への手数料
・仲裁者による検閲
・事実認定の難しさ
仲介期間が会社だとしても結局は”人が行う”ので、その人の意思が介在することは避けられません。且つプライバシーの問題やお互いの意見の信憑性をどのように判断するのかも難しい問題です。
これらを人ではなく仕組みで解決するのがDeDealです。
一見すると”NFTとかすでにこれ実装されてない?”と感じるかもしれませんが、DeDealはオフチェーンのやり取り(例えばメルカリ)にもスマコンを活用し、人ではなく仕組みで解決する取り組みです。
■DeDealの仕組み
画像を読むとわかりやすいので、コアな仕組みである「4 制裁」を解説します。DeDealの肝はここにあります。
すごく簡単に言えば、「悪いことしてきたらこっちもやったんで!」という思想です。これを仕組み化することで「悪いことすると反撃合戦が始まって結果的にお互いが損をするので、お互いきちんとした取引をするインセンティブ」が働きます。
DeDealは、Buyer(買う人)が商品受け取り後に制裁を行うことができます。
これは商品価格(1Ethとする)の2倍の金額(2Eth)をプロトコルに預け入れるとSellerが受け取るはずだった商品代金と最初に預け入れていたデポジットの合計2Ethをバーンすることができる仕組みです。つまり受け取り不可能にすることが可能になります。
受け取り金額をバーンされたSellerはこれに不満がある場合、また商品価格の2倍の2Ethをデポジットすることで、Buyerがバーンのためにデポジットに入れた2Ethをバーンできます。(Sellerが反撃してこない場合は、デポジットの2EthはBoyerに戻ります)
バーンされたBuyerはまたSellerに反撃ができ、SellerもまたBuyerに反撃ができ、、というお互いの反撃し合う機能が実装されているのがDeDealです。
ただこれ、自分の資金を消耗して相手の受け取る資金を0にしているだけなので、続けば続くほどお互いがマイナスになっていきます。
だからこそ上で書いた通り、「悪いことすると反撃合戦が始まって結果的にお互いが損をするので、お互いきちんとした取引をするインセンティブ」が働くというわけです。
これをスマコンで実現するので、DeDealは分散型のエスクロープロトコルというわけです。
(※この仕組みがワークする人間の心理的な根拠として「不公平感回避の単純なモデル(A SIMPLE MODEL OF INEQUITY AVERSION)」という論文や数々の実験をもとにした解説はWPに書いてあるので、ぜひご覧ください。)
DeDealが正しく機能することで、オフチェーンとオンチェーンの価値の交換がとらストレスに実現します。
これぞプロトコル!
ここからはリサーチした感想を書きます。
非常に面白い取り組みでした。やっぱりスマートコントラクトを活用した仕組み作り(プロトコル)の話は面白いです。
そして、このプロトコルが正常に機能すれば、現実世界のあらゆるユースケースに適用できます。
もちろんこれからの実験によって、実際にワークしない箇所もあるとは思いますし、その辺りの想定される課題と解決策の方向性もWPに載っていました。
しかし、大前提となるプロトコルの方向性や思想に関しては強く共感しました。
僕が最初にブロックチェーンに感動したのは「悪いことするよりもみんなと協力した方がメリットが大きいから悪いことしない」を仕組み化しているところでした。
会社組織における制度設計も店舗の設計も、全てそうですが、基本的に人の善意に頼ってはいけないと僕は思っています。善意ではなく仕組みによって人の行動をコントロールするべきです。
純粋に「悪いことして稼ぐ > 真っ当に稼ぐ」であるから悪いことをする人がいるわけで、これが「悪いことして稼ぐ < 真っ当に稼ぐ」であれば悪いことする人は格段に減ります。
例えば、発展途上国における社会課題を解決する事業を行う人には毎月1,000万円が支給されるようになれば、そこに着手する人は大きく増加します。動機はなんであれ、結果的に世界は良くなるはずです。
こういった仕組みを人の手を介さずに自動で作れるようになったのがブロックチェーンです。なので、僕はこのど真ん中をいくプロトコルレイヤーのサービスはめちゃくちゃ面白いなと思ってます。
DeDealもそういう意味で、非常に面白いと感じたリサーチでした。言葉にすると単純で、現実世界でもそういう心理が働いていることを、プロトコルに落とし込む作業がされており、今後も注目していきたいです。
以上、面白いと思った方は拡散にご協力いただけると幸いです!
«参考リンク»
・WhitePapar:https://dedeal.gitbook.io/whitepaper/v/ja/
・Twitter:https://twitter.com/DeDealOfficial
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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