【Decent】マルチチェーンNFTを実現 / 購入者は好きなトークン、好きなチェーンでNFTを購入可能 / 2025年からマスアダプションが始まる?
例えば、ETHチェーン上に発行されているNFTをMATIC等の別トークンで支払うことも、OptimismチェーンのNFTとして取得することも可能です。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Decent」についてリサーチしました。
«目次»
1、Decent とは?
- 設立背景
- 機能
- クリエイター向けダッシュボード
- 展望
2、2025年からマスアダプションが始まる?
Decent とは?
「Decent」は、どんなチェーンのどんなトークンでもNFTを購入可能にする”マルチチェーンNFT”のインフラストラクチャです。
例えば、ETHチェーン上に発行されているNFTをMATIC等の別トークンで支払うことも、OptimismチェーンのNFTとして取得することも可能です。
この機能は「The Box」と呼ばれ、シームレスなNFT購入体験を実現します。
■設立背景
現在、NFT市場全体の取引量は激減しています。最もこれはNFTに限った話ではなくFTやDeFi市場を含めたweb3全体が落ち込んでいます。それらの課題解決の1つにOptimismやArbitrum、PolygonなどのL2やサイドチェーンのソリューションが存在します。L2はガス代を大幅に削減し、トランザクションを容易にすることで、快適なユーザー体験を実現します。
しかし、現在のブロックチェーンは分断されているため、そのチェーン上のトークンでしか購入できず、ユーザーは不便を強いられています。欲しいNFTがあっても手持ちにそのトークンがない場合、NFTの取得を辞める確率は80%ほどだというアンケート結果も出ています。
また、L2だけでなくAppチェーンも盛り上がりを見せる中で、よりシームレスで快適なNFT体験を実現するために、マルチチェーンNFTのインフラとしてDecentが誕生しました。
■機能
大きく分けると「開発者用(APIやSDK)」と「クリエイター用」に分けられますが、コアな機能は同じです。開発者用は自身のサービスへの組み込みなど、より細かな調整が可能となり、クリエイターはノーコードでこれらの機能を利用できます。
コア機能は「マルチチェーンNFTの実現」です。
マルチチェーンNFTとは発行されているNFTを、購入者が好きなトークン及び好きなチェーンで購入できる仕組みです。
そのために以下の2つが可能です。
トークンのスワップ(by Uniswap)
NFTのブリッジ(by Layer0 & Stargate)
例えば、ETHチェーン上のNFTを買いたいがMATICしか持っていなかった場合、購入時に裏側でトークンをUniswapを介して自動スワップしてMATICをETHに変換して購入してくれます。
また、ETHチェーン上のNFTをOptimismチェーンとして欲しい場合も自動でNFTをブリッジしてOptimism NFTとして取得可能です。
現在サポートされているチェーンは、ETH、Optimism、Arbitrum、PolygonなのでNFTブリッジ可能なチェーンはこの4つで、このチェーン上に存在するトークンであればどのトークンでも購入に利用できます。
尚、ブリッジやスワップしての購入の場合のみ手数料が発生し、ArbitrumとOptimismでは0.00044ETH、Ethereumでは0.00077ETH、Polygonでは0.81MATICの手数料を請求されます。
そしてこの仕組みは一次販売だけでなく、二次流通での販売まで対応しており、最初に作成した販売ページであらゆるマーケットプレイスを読み込み最適な価格での購入を実現します。
○UI説明
The Boxを活用したNFT販売は以下のような見た目となります。
チェーンを選択:どのチェーンでNFTを購入したいか
発行元のチェーン:現在発行されているチェーン
販売価格
支払いに使うトークン:1で選択したチェーン上にあるトークンを選択可能
合計金額:3の販売価格 + ガス代 + スワップ等にかかる手数料
最適なルート:スワップ等の最適なルートを閲覧できます
手数料:予想される手数料
このNFTチェックアウトを開発者はSDKで利用でき、クリエイターはノーコードで利用できます。ここではクリエイター用の機能をさらに深堀して解説します。
■クリエイター向けダッシュボード
ダッシュボードはこのようになります。現在稼働中のプロジェクト、コレクター一覧が閲覧できると同時に、新しいコントラクトの作成と連携アプリによる機能拡張ができます。
ここでは実現できるコントラクトを解説します。
EDITIONS:一点物販売やオープンエディション等の一般的なNFT販売
RENTABLES:レンタル可能なNFTやサブスク機能の実装
CRESCENDO:ダイナミックプライシングのNFT(10個ミント以降は価格上昇など)
TREASURY:コミュニティに還元するために資金プールの作成
STAKING:NFTをロックするステーキング機能の実装
TREASURY BACKED:プール資金の作成と報酬の還元を同時に実施
できることは非常に多岐にわたります。大体のNFTプロジェクトの仕組みならここからノーコードで実現できる気がしますね。
そして、連携アプリを利用すれば、さらに機能拡張できます。例えば、コミュニティ運営ツールとしてCharmVerseと連携ができ、DAO運営を実現できます。
他にもbornfireと連携してLPをノーコードで実現するなど、あらゆるツールと連携できます。
■展望
DecentがThe Boxをリリースしたのは2023年5月末と非常に新しい機能です。
会社設立が2021年で2022年のY Combinatorに参加しています。そして、2022年12月にYCを始めとした複数投資家よりシード資金として350万ドルの調達に成功しています。
まさにこれからというサービスなので、これからが非常に楽しみです!!
2025年からマスアダプションが始まる?
ここからはリサーチした感想を書きます。
以前Cosmos基盤の「Interchain NFT」についてのリサーチを書きましたが、今回のDecentはそれのETH版であり、さらにトークンのスワップや一次販売や二次流通にも対応しています。
加えて、ノーコードで実現できる幅が非常に広く、開発者がいなくてもほとんどの事を実現できてしまいます。オリジナルのUIの作成などは開発を入れないと難しいですが、ステーキングやレンタル機能もノーコードで出来てしまうのですごいですね。
これは肌感覚ですが、1~2年ほど前から相互運用性を実現するマルチチェーンやクロスチェーンのソリューションが誕生し、ようやく今年にプロダクトとして形になってきている気がします。
それはDapps単位でもそうですし、オムニチェーンを実現する「ZetaChain」もそうです。
CosmosやPolkadotのように最初から相互運用性を実現しようとしているプロジェクトもありますが、技術の発展につれてDapps単位でも出来てきました。
このシームレスなマルチチェーン体験にユーザーが慣れるまでに1~2年かかりそうなので、2025年頃には当たり前になっていそうです。それらを経て、さらに数年間の時間がかかってマスアダプションを果たしていくのかな?という感じです。
なので僕の感覚としては、今のガス代問題の解決やコントラクトウォレットの実現など技術的な成熟と相互運用性を解決するDappsの実現などを含めて、2025年頃までにマスアダプションを目指せるサービス開発ができる基盤が整い、そこから一斉に開発競争が始まり、数年かけてマスアダプションしていくのかなと思ってます。
それまで注意深く色々な事を追いかけていきたいですね!
以上、「Decent」のリサーチでした。面白いと思った方はいいねやコメント、SNSでのシェアにご協力いただけると嬉しいです!!
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