おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「DAOの投票率とガバナンス」についてのリサーチ記事となります。
まず最近話題になったCompoundに対してのガバナンス攻撃を紹介し、こちらも最近公開されたDAOの投票率に関するレポートを紹介します。それらの事実から考えられるDAOにおけるガバナンスの限界について言及します。
💥Compoundがガバナンス攻撃を受けた
🗳DAOは実質機能していない?
💬人類にDAOは早かったのか
💥Compoundがガバナンス攻撃を受けた
2024年7月、大手DeFiレンディングプロトコルである「Compound」がガバナンス攻撃を受けたとして話題になっています。
ガバナンス攻撃とは、ブロックチェーンにおける51%攻撃のように、そのプロトコルの投票権の大部分を握ることで、実質的に中央集権的な意思決定ができるようにする行為のことです。
分散型で運営されていると称されるプロトコルの多くはガバナンストークンを発行しており、そのトークンホルダーが投票権を持つことで方向性の決定やDAOトレジャリーの資金の使い道を決定します。
ただし、投票率が低い場合やトークンを1人もしくはチームで買い占めてしまった場合においては、誰かにとって都合の良い提案を可決することが可能になります。
「Compound」でもそのような出来事が起こったとされています。
問題となった提案は提案-289です。
この提案は、Compoundの資金から499,000COMP(約2,400万ドル)を「The Golden Boys」チームのgoldCOMP DeFi金庫に投資することを提案しています。簡単に言えば、Goldenboyというチームが作った新しいVault(投資戦略)に対して投資してくださいという提案です。
一見すると普通の提案のように見えるかもしれませんが、実はこの提案が可決される前に、Compoundの資金をgoldCOMPに割り当てようとする提案が2 回失敗している過去があります。
そして、The Golden Boysは、さまざまなDeFiプロトコルのガバナンストークンを購入し、トークン発行プロジェクトを犠牲にして自分たちの個人的な経済的利益にかなう措置に投票したとして非難されたことのある物議を醸しているクジラ、Humpyが率いているチームになります。
web3セキュリティ企業OpenZeppelinのマイケル・ルウェレン氏は「The Golden BoysとHumpyは悪意を持って活動しており、Compound の資金の大部分を奪う提案を押し通そうとしている」と警鐘を鳴らしました。
これらの警鐘にも関わらず、3回目の提案であった提案-289は賛成51.84%、反対48.16%というギリギリのところで可決されました。
尚、The Golden Boysチームは委任者の独自のトークンと合わせると、ガバナンス提案が定足数を満たすために必要な400,000COMPの81%以上を管理していたと言われています。
→より詳細はこちらの記事が参考になります。
🗳DAOは実質機能していない?
さて、もう1つの事例を紹介させてください。
2024年5月にマドリード・コンプルーテンセ大学の2人の学者によるとある研究結果が発表されました。タイトルは「Concentration of Power and Participation in Online Governance: the Ecosystem of Decentralized Autonomous Organizations」です。
こちらの研究結果では非常に興味深い示唆が読み取れます。
幾つか抜粋してその結果を紹介します。
DAOの約50%が10人以下の投票者の小規模DAO
Snapshotが8,000以上のDAO(全体の80%以上)をホスト
1,000人以上の投票者を持つDAOは約300
100,000人以上の投票者を持つDAOは4つ
Keep reading with a 7-day free trial
Subscribe to web3 Research JAPAN to keep reading this post and get 7 days of free access to the full post archives.