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分散型取引所(DEX)の仕組みとAMMの革新性【後編】
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分散型取引所(DEX)の仕組みとAMMの革新性【後編】

CEXとの比較でDEXの基礎を学ぶ

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mitsui
May 11, 2025
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分散型取引所(DEX)の仕組みとAMMの革新性【後編】
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おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。

今日はweb3の基礎の基礎レポートということで「伝統的な金融システム・CEX・DEX」について深堀します。

少し難しい用語も出てくるかもしれませんが、ざっと理解できるように書いているので、ぜひ最後までご覧ください!

1. はじめに
2. 分散型取引所(DEX)とは
3. AMM(Automated Market Maker)の基本仕組み
4. 流動性プールとLP(Liquidity Provider)の仕組み
5. インパーマネントロス(Impermanent Loss)とは
6. DEXのリスクと対策
7. CEXとDEXの比較まとめ
8. 今後の展望
9. まとめ


🧵TL;DR

  • DEXは中央管理者を介さずにスマートコントラクトで資産を交換する仕組みで、AMMは注文板不要の価格決定モデルを実現した。

  • 流動性プールに誰でも資産を提供でき、LPはスワップ手数料から報酬を得るが、価格変動によるインパーマネントロスに注意が必要。

  • スマートコントラクトの脆弱性やMEVによるフロントランニング、法的な責任の所在など、DEX特有のリスクも存在する。

  • AMMはDeFiの基盤として高い革新性を持つが、CEXとは異なり、すべてを“自己責任”で運用する文化が求められる。


1. はじめに

1-1. 前編のおさらい

前編では、証券会社やCEX(中央集権型取引所)の仕組みを中心に解説し、「中央集権型モデル」のメリットや課題を学びました。

  • メリット:運営主体による高速なマッチングや顧客サポート、清算機関による保証など

  • 課題:ハッキングリスクや運営企業の破綻リスク、「中央」があるがゆえの依存度の高さなど

中央集権の仕組みは、既存の金融市場(株式・債券など)で長年培われてきた実績と信頼がありますが、同時に「管理者への過度な依存」が問題になるシーンもあります。

1-2. 分散型取引所(DEX)登場の背景

こうした課題を解消するため、ブロックチェーン技術の上で「中央管理者を介さずに」資産を交換できる仕組みとして誕生したのが「分散型取引所(DEX)」です。

なかでも、近年のDeFiブームを牽引したのが「AMM(Automated Market Maker)」という革新的な仕組みです。従来のオーダーブックに頼らず、誰でも流動性をプールに提供し合うことで取引を成立させるアイデアは、大きな衝撃を与えました。

後編では、DEXとAMMの詳細を掘り下げ、初心者でも理解できるように“具体例”や“図解イメージ”を盛り込みながら解説していきます。CEXとの比較をベースに、「なぜAMMが画期的なのか」「どんなリスクがあるのか」「今後の展望はどうなるのか」を一緒に学んでいきましょう。


2. 分散型取引所(DEX)とは

2-1. DEXの基本的な概念

DEXは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを使って資産交換を行う取引所です。最大のポイントは、「中央の管理者が存在しない」(または最小限である)ことです。ユーザー同士がP2Pで直接トークンを交換する仕組みになっています。

  • ウォレットのセルフカストディ

    • ユーザーは自分の秘密鍵を保持したウォレット(例:MetaMaskなど)を用意し、取引所にコインを“預ける”必要が原則ありません。

  • スマートコントラクトによる自動執行

    • 取引ルールや価格決定ロジックがプログラムされており、条件が満たされれば自動的にトークン交換が実行される。

  • ガバナンスと分散化

    • プロトコルのアップデートや手数料率の変更などは、DAO(分散型自律組織)の投票を通じて決まる場合が多い。

2-2. 従来のオーダーブック型DEXとその課題

実は、DEXの初期形態として「オンチェーン上にオーダーブックを置く」方式も試みられました。中央サーバーの代わりに、ブロックチェーンのトランザクションとして「買い注文」や「売り注文」を記録し、マッチングするイメージです。

  • メリット

    • 完全に透明な板(オーダーブック)で、誰でも注文状況を検証できる。

  • 課題

    • ブロックチェーンのスループットが低いため、注文を出すたびにガス代がかかり、取引コストが高騰する。

    • 大量の注文が頻繁に更新される状況では不向き。

    • 流動性が十分に集まらず、スプレッドが広がる傾向がある。

こうした課題を解消すべく生まれたのが「AMM(自動マーケットメイカー)」の概念です。オーダーブックに頼らず、“流動性プール”という形でユーザー同士が資金を出し合い、それを使ってスワップ(トークン交換)を成立させる仕組みがDeFi革命と呼ばれる流れを作り出しました。


3. AMM(Automated Market Maker)の基本仕組み

3-1. AMMとは何か?

AMMとは、オーダーブックの代わりに「プールされたトークン」を基準に価格を自動算出し、ユーザーの取引を成立させるシステムです。最も代表的なのが、Uniswapが採用した「定数積モデル(Constant Product Market Maker)」と呼ばれる仕組みで、以下の数式で表されます。

x * y = k
  • x:プール内にあるトークンAの数量

  • y:プール内にあるトークンBの数量

  • k:定数(プールが設定している値で、常に一定)

AMMでは、この「x×y = k」を常に満たすように、トークンAとトークンBの価格が自動的に変動します。たとえば、ユーザーがトークンAを大量にプールに投入し、代わりにトークンBを引き出すと、プール内のBの残量が減るため、Bの価格が上がります。これが需要と供給の調整を自動で行う仕組みになっているのです。

ミニ事例:ETH/USDCプール

  • あるDEXにETH/USDCの流動性プールがあるとします。

  • プールには初期状態で、ETHが100枚、USDCが20,000枚入っており、定数k = 100×20,000 = 2,000,000。

  • このとき、1ETHあたりのUSDCは “20,000 ÷ 100 = 200 USDC” となり、ETHの価格をUSDC建てで示せば1ETH=200USDCを示唆します。

  • ユーザーがこのプールにETHを1枚追加し、対価としてUSDCを取り出そうとすると、xの値が101に増え、yはその分減少しなければ「x×y = 2,000,000」を保てません。最終的に、プール内のETHが増え、USDCが減るほど1ETHあたりのUSDCは上がり、ETHの「プール内価格」が上昇していくわけです。

3-2. AMMが生み出した革新性

  1. 常に“買い手”と“売り手”が存在する
    従来のオーダーブックだと、買い手・売り手の注文が偏ると取引が成立しませんでした。AMMではプール自体が相手方を自動で担ってくれるため、理論的にはいつでもトークンスワップが可能です。

  2. 誰でも流動性提供者(LP)になれる
    従来の金融市場ではプロのマーケットメイカーがいたり、大きな資本を持つ企業が流動性を供給してスプレッドを狭めていました。AMMモデルでは、一般ユーザーもプールに資産を預けるだけで“プチマーケットメイカー”として手数料報酬を得ることができます。

  3. オンチェーン上での自動化
    取引ルールや流動性管理、手数料分配などがスマートコントラクトによって自動執行されるため、仲介者を必要としません。

  4. 使いやすいUI/UX
    UniswapやSushiSwapなどのDEXは、画面上にオーダーブックはなく、「交換したいトークンA → 受け取りたいトークンB」を選ぶだけ。価格はAMMの数式に基づいて即時算出され、ユーザーは“スワップ”ボタンを押すだけで完了します。


4. 流動性プールとLP(Liquidity Provider)の仕組み

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