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伝統的な金融システムとCEXの仕組み【前編】

「伝統的な金融システム・CEX・DEX」について深堀します。

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mitsui
May 10, 2025
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おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。

今日はweb3の基礎の基礎レポートということで「伝統的な金融システム・CEX・DEX」について深堀します。

少し難しい用語も出てくるかもしれませんが、ざっと理解できるように書いているので、ぜひ最後までご覧ください!

1. はじめに
2. 証券会社の仕組み
3. 中央集権型取引所(CEX)の基礎
4. 証券会社とCEXの共通点・相違点
5. セキュリティと運用リスク
6. ユーザー体験の違い
7. 前編のまとめ:中央集権型のメリットと課題
8. おわりに


🧵TL;DR

  • web3の本質を理解するには、証券会社やCEXなど従来の中央集権型金融の仕組みを知ることが出発点となる。

  • 証券会社では注文から約定、清算までが中央機関によって保証され、安全性と信頼性が高い。

  • CEXも中央集権的な構造で、暗号資産を預かりつつオーダーブック方式で取引を提供している。

  • ただし両者とも、預け先のリスク(破綻・ハッキング)や規制の壁を抱えており、後編ではDEXの分散型モデルがこれをどう変えるかを解説する。


はじめに

1-1. なぜ「既存の金融システム」を知る必要があるのか

「web3」や「ブロックチェーン」「暗号資産」という言葉を聞くと、多くの人は最先端の技術や革新的なサービスを想像するかもしれません。しかし、web3の世界を体系的に理解するためには、それ以前の“従来の金融システム”――つまり、株式を売買する際に利用する証券会社や、日常でよく耳にする証券取引所の仕組みなどを押さえておくことが欠かせません。

なぜなら、ブロックチェーンがもたらす「分散型」のメリットやリスクを正しく理解するには、「今まで中央集権的に運営されてきた金融取引がどのように行われてきたか」を知り、その上で「分散化とはどんな変化をもたらすのか」を比較する視点が必要だからです。

この記事では、証券会社や中央集権型取引所(CEX)の仕組みを通じて、以下のポイントを説明します。

  • 伝統的な金融機関である証券会社がどのように株式などを売買しているのか

  • CEX(中央集権型取引所)が暗号資産の売買をどのように管理しているのか

  • 両者に共通する「中央集権的な構造」と、そのメリット・デメリット

  • 後編につなげる形で、分散型取引所(DEX)との対比を考える土台

この「前編」で得た知識は、「後編」で解説する分散型取引所(DEX)やAMM(Automated Market Maker)の革新性を理解するための基礎となります。ぜひ最後までお読みください。


2. 証券会社の仕組み

2-1. 証券会社とは?

証券会社とは、株式や債券などの有価証券の売買を仲介する金融機関のことです。
銀行などの預金業務とは異なり、投資家(顧客)からの注文を受け取って「証券取引所」での売買を取り次ぎ、その後の決済・受渡し手続きを行うのが主な役割です。

たとえば、あなたが「A社の株式を買いたい」と思ったら、まず証券会社に注文を出します。すると証券会社は、東京証券取引所(東証)などの証券取引所に注文を流して、注文が成立すれば株式を買い付けてくれます。こうした仲介活動が証券会社の最も基本的な業務です。

証券会社が扱う代表的商品

  • 株式
    上場企業が発行する株を売買する。

  • 債券(国債・社債)
    国や企業が資金調達のために発行する債券を扱う。

  • 投資信託
    複数の株式や債券を組み合わせたパッケージ商品。

  • デリバティブ(先物やオプション)
    少し専門的だが、金融派生商品として投資家に提供する。

日本では「金融商品取引法」に基づき、内閣総理大臣の登録を受けて営業しているため、比較的厳しいルールや監督下に置かれています。このおかげで投資者保護の制度も整い、一定の信用度が保たれていると言えます。

2-2. 株式売買の具体的フロー

証券会社を通じて株式を取引する場合、一般的には以下のようなステップを踏みます。

  1. 口座開設

    • 証券会社に口座を作る。本人確認やマイナンバー提出などの手続きが必要。

  2. 入金

    • 証券会社の口座に売買資金を振り込む。多くの場合、銀行口座からの振替が主流。

  3. 注文(買い or 売り)

    • ネット証券ならPCやスマホアプリ、または店舗型なら電話や窓口で注文を出す。

  4. 注文の取り次ぎ

    • 証券会社が、東証などの証券取引所に注文を送る。

  5. 取引成立(約定)

    • 取引所の「板(オーダーブック)」に注文が並び、売りたい人と買いたい人の価格が一致すれば取引成立。

  6. 決済・受渡し

    • 約定後、通常は2営業日程度で実際の株式の移転と資金決済が完了。

    • 株式は「ほふり(証券保管振替機構)」で電子的に管理され、顧客名義で口座に反映。

この流れの中で、特に重要なのは「清算機関」という組織の存在です。次の項目で詳しく解説します。

2-3. 清算機関の役割

株式売買が成立したとしても、お金や株を直接“取引の相手”に送るわけではありません。伝統的な金融市場では、「清算機関(Clearing House)」という専門の組織が、売買後の履行や資金移転を集中的に管理します。

  • 日本の場合:日本証券クリアリング機構(JSCC)が代表的。

  • 役割

    • 約定後の「債権・債務」をすべて受け取り、取引の決済を保証。

    • もし一方の投資家が破綻しても、清算機関が対応する仕組みがあるため、相手側の投資家は安心して取引を続けられる。

  • メリット

    • 売り手と買い手の「信用リスク」を大幅に低減。

    • 大量の取引を集約し、効率的に資金や株券のやり取りを行える。

このように、「中央にある清算機関が、すべての取引を取りまとめて保証する」という構造が、伝統的な証券市場では当たり前になっています。いわば「中央集権型」の代表的仕組みのひとつと言えます。

2-4. 投資者保護と規制体制

証券会社は金融商品取引法や業界自主規制によって、以下のような義務を負っています。

  • 顧客資産の分別管理

    • 証券会社が自社の資産と顧客資産を明確に区分して保管。

    • 万一会社が破綻しても、顧客の株式や預り金は返還が受けられるように設計。

  • 営業ルールの遵守

    • 適合性の原則(顧客の知識・経験に合った商品を提案する)。

    • 不招請勧誘の禁止(電話などで無理な勧誘をしない)。

  • 投資者保護基金

    • 証券会社が加入する投資者保護制度により、一定額まで保証がある。

こうした制度のおかげで、証券会社経由の株式取引は比較的安心して行えるわけです。

ただし、ルールが厳しいぶん、口座開設や売買の手続きに時間がかかることもあります。また、海外の証券や他国での運用となると、規制の枠組みが変わってさらに複雑になる場合もあります。


3. 中央集権型取引所(CEX)の基礎

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