おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「Can’t Be Evil」についてリサーチしました。
«目次»
1、Can’t Be Evil とは?
2、a16zが”Can’t Be EvilなNFTライセンス”を発表!
3、キャッチコピーが浸透を加速する
Can’t Be Evil とは?
「Can’t Be Evil(邪悪になれない)」は、Googleのクレドの1つ「Don’t Be Evil(邪悪になるな)」をもじった言葉であり、web3のあり方を示す際によく使われる言葉です。
きっかけは、Blockstack社が下記のような看板広告を出したことでweb3業界で広く使われるようになりました。
元々、「Don’t Be Evil(邪悪になるな)」には、ユーザーを騙すようなことをしてはいけない、真摯に向き合ってサービスを誠実に運営していこうというような意味が込められています。
しかし逆を言えば、これは”思想”の話であり、実質的にGoogleはその企業の意図によって如何様にも操作できてしまいます。例えば、検索エンジンやYouTubeのアルゴリズム変更は企業主体で自由に変更できます。
この、ユーザーの情報や損得が発生する変更を、一企業や個人の判断だけに委ねられている「Don’t Be Evil(邪悪になるな)」な状況に対してのアンチテーゼとも呼ぶべき概念が「Can’t Be Evil(邪悪になれない)」です。
そもそもweb3では不正はできません。そしてこれは”思想”の話ではなく”仕組み”の話です。
一企業や個人が善意でも悪意でも、どちらを持ってしても、仕組みに干渉することはできません。(厳密に言えば、全ての介入がオープンになります)
そういったWeb2.0からの変遷、あるべき姿を指して、「Don’t Be Evil(邪悪になるな)」ではなく、「Can’t Be Evil(邪悪になれない)」が提唱され、web3のあるべき姿、インターネットのあるべき姿を示す言葉として使われ始めました。
a16zが”Can’t Be EvilなNFTライセンス”を発表!
「Can’t Be Evil(邪悪になれない)」自体は随分前から言われていたことでしたが、昨年8月に大手VCのa16zが「Can’t Be EvilなNFTライセンス」を発表したことで、再度そのワードが話題となりました。
「Can’t Be EvilなNFTライセンス」とは、NFTにおける知財利用権(商用利用など、どこまでしていいの?)を記した契約書のようなものです。
現状のNFTプロジェクトは、商用利用権を解放しているところ、していないところ、特に何も定めていないところなど、その扱いがバラバラです。また、各NFT毎にライセンス契約の内容も異なるので、ホルダーからしてもどのようにNFTを扱えば良いのかを理解するのに苦労します。NFTオーナーも細かく規約を作るのに苦労します。
こういった状況を解決するために、一定の雛形を用意して、ある程度統一したらわかりやすいじゃん!と、a16zが6種類の雛形を発表しました。
ざっくり言えば、
展示やコピーなど基本利用
商用利用権
加筆修正
ヘイトスピーチなど不適切な使い方への許容
などを許すか許さないかで決まり、下に行くほど許容度が狭くなります。
これらのライセンスはArweaveにデプロイされており(公開、永続、不変の方法で保存することを保証)、各NFTとスマートコントラクトでコネクトすることが可能となります。また、基本の雛形に独自の条項を入れた上でのライセンス契約も可能です。
また、これらの仕組みは20年前に策定されたCreative Commons (CC)の考えを踏襲し、NFT版に改良したものとなります。
この雛形を用いることで、NFTオーナーは細かい契約書作成の時間や費用が削減でき、ホルダーも素早く理解し、NFTを活用した二次創作や商用利用が加速します。よって、NFTプロジェクト自体が盛り上がることが想定されています。
(原文はこちらから飛べるので、ぜひ原文もご覧ください)
キャッチコピーが浸透を加速する
僕自身、この誰も不正ができない(不正をするインセンティブがない)というビットコインの仕組みに感動して、web3にハマったところがあります。
なので、「Can’t Be Evil(邪悪になれない)」はすごくしっくり来るワードでした。
そして少し話は別方向に行きますが、このワーディングってマスへの浸透にかなり大切な気がしてます。
「Web3.0」や「web3」も、NFTやDAOも、ワーディングがカチッとハマった瞬間に一気に浸透が加速した気がします。技術の進歩も浸透の大きな要因だと思いますが、個人的にワーディングも大事な要素だと思います。
以前リサーチした「SFT」の記事がかなり反響を呼んだのですが、ERC-3525とか金融NFTで言われたら「そうですか」で終わったと思います。ただ、NFTに次ぐ新規格「SFT」と言われたら、「え、何それ!」と感じます。
プロジェクト目線で言えば、自分たちの作るプロトコルやDappsに固有の名称をつけて、その名称をバズらせた上で、代表PJとして自分たちのプロジェクトが存在するというマーケティング手法はかなり使えそうです。
SFTはまさにそうで、SFTの概要からの代表プロジェクトの説明でSolv Protocolの話に必ずなります。
「Can’t Be Evil(邪悪になれない)」の話から、このキャッチコピーすごいなと感じ、それを意図的に作ることでプロジェクトは加速するなという仮説に行き着きました。
自分でもそういうワードを作ってみたいですね!
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免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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