【Braintrust】web3版ランサーズはどんな仕組みで回っているのか?
「Braintrust(ブレイントラスト)」とは、web3版(クリプト版)のランサーズです。つまり、仕事が欲しいフリーランスと依頼したい企業のマッチングプラットフォームのweb3版です。
おはようございます。
web3researcherの三井です。
今日はweb3版のランサーズとも言われる「Braintrust」についてリサーチしました。
Braintrustとは?
「Braintrust(ブレイントラスト)」とは、web3版(クリプト版)のランサーズです。つまり、仕事が欲しいフリーランスと依頼したい企業のマッチングプラットフォームのweb3版です。
https://www.usebraintrust.com/
とはいえ、web3版とは具体的にどのような仕組みなのか、ランサーズ含め既存のクラウドソーシングサイトとは何が違うのか、この辺りを解説していきます。
まずは同じ点を説明します。
クライアントとフリーランスの仕事のマッチングが行われる点。
クライアントが仕事に応じてフリーランスに報酬を支払う点。
当たり前ですが、この根本は既存の仕組みと同様です。web3版と聞くと何か新しいビジネスと想像してしまいがちですが、web3というのはインセンティブ設計をクリプトを用いて行うことで、分散化されたサービスを目指すことができる点が革命的なので、根本の仕組みや解決したい課題は同じであることがほとんどです。
繰り返しになりますが、Brantrustの根本はあくまでフリーランスと企業のお仕事マッチングサイトです。
では、ここから異なる点を説明します。(細かい違いは多々ありますが、理解に必要な大きな違いだけをピックアップします。)
仕事の仲介人「コネクター」が存在する。
独自コイン「BTRST」が存在する。
フリーランスが受け取る報酬に仲介手数料が発生しない(クライアント側からの報酬を100%受け取れる)。
少しややこしくなってきたので、改めて仕組みと実際のフローを紹介します。
■登場人物は3人
フリーランス(仕事の受注人、サイトでは”タレント”と表記されています)
コネクター(仕事の仲介人)
クライアント(仕事の発注人)
通常は、サイトに登録してあるフリーランスにクライアントが依頼して仕事のマッチングが行われる形です。
そして、コネクターと呼ばれる仕事の仲介人も存在しています。これはクライアントを探してきて、サイト登録→実際に仕事発注→報酬発生が行われたら、手数料として10%が貰えるという仕組みです。会社でいう新規開拓の営業マンであり、アフィリエイトに近い仕組みです。これをインセンティブをつけてユーザーに開拓してもらってる感じですね。
■報酬発生や手数料の仕組み
登場人物やそれぞれの動きはなんとなく理解できたと思いますが、ここからが本題です。web3のサービスはこのインセンティブ設計をどうするか(トークンエコノミクスの設計)が肝です。
実際の流れ通りにBraintrustの報酬設計を見ていきましょう。
○コネクターが絡まない、通常の仕事マッチングフロー時
クライアントがサイト上のフリーランスに仕事依頼。
案件達成時には、報酬額の110%を支払う。
100%がフリーランスに支払い(サイトの仲介手数料はなし)、10%はノード(※)に支払い。
※ノードとは、ブロックチェーンのサービスを支えるパソコンのことです。基本的にブロックチェーンのサービスはどこか一つのサーバーを借りて運営するのではなく、多くの人のパソコンを繋げることでサービスが稼働します。だからこそ”分散化”と呼ばれています。ただ、ノードとなるパソコン所有者は電気代等々のお金がかかります。なので、ノードとなった人に対しての報酬を支払うことで、ノードになるインセンティブを発生させ、サービスが円滑に回っていくわけです。ビットコインでいうマイニング報酬もそうです。Braintrustでは、案件が達成される毎に”クライアント負担”でノード報酬が発生される仕組みになっています。
○コネクターが絡む、仕事マッチングフロー時
クライアントがサイト上のフリーランスに仕事依頼。
案件達成時には、報酬額の110%を支払う。
100%がフリーランスに支払い(サイトの仲介手数料はなし)、10%はノード(※)に支払い。
Braintrustのトレジャリーからコネクターに10%の報酬支払い。
1~3は全く同じです。コネクター報酬はBraintrust本体のお財布から支払われます。このトレジャリーと呼ばれるお財布が独自コイン「BTRST」が入っているお財布ということですね。
■独自コイン「BTRST」の存在
Braintrustには独自コイン「BTRST」が存在します。Coinbaseにも上場しているため、信頼性が高く、他のクリプトとスワップすることも可能です。
ホワイトペーパーにあるトークンの割合ですが、54%がコミュニティーインセンティブや報酬に活用されると書いてあります。現状はここからコネクターへの支払いが行われています。
ただ、このトークンも無限ではないので、永久的にコネクターへ支払いをし続けられるのか、新規ユーザーの獲得が止まってしまった時にどうするのか、これらの課題はまだ解決されていません。
そして、その他にも投票等「BTRST」トークンの使い道は多数存在しています。詳しくはホワイトペーパーをご覧ください。
フリーランスに優しい設計なため、優秀な人が集う
このBraintrustですが、フリーランスに対しての報酬から手数料を貰わないため、既存のマッチングサイトに比べて、フリーランスに優しい設計になっています。
また、サイトを見て驚くことはその導入企業の豪華さにあります。NASAやNike、Deloite、intelやIBM等々、錚々たるメンバーが並んでいます。
この理由として、初期はオフラインの営業から始めて、うまくいき始めたからクリプトを活用して現在の形になったという”立ち上げのフロー”があります。
つまり、最初は単純にマンパワーで大手クライアントを営業し獲得し、クローズドコミュニティーで仕事のマッチングを行なっていたサービスだったんですね。そこからオープンなマッチングサービスにする際にトークンを活用して、web3版にしていったと。その結果、錚々たるクライアントが並んでいます。
このフリーランスに優しい報酬設計と錚々たるクライアントが既に使っていた(良い仕事がある)ことで、優秀なフリーランスが集まるようなサイトに成長していきました。実際に他のサイトよりもフリーランスの質がダントツで高いとのことで、クライアント側も満足しているみたいです。
web3サービスの先駆け
NFTやゲームではなく、今のweb2サービスをweb3に置き換えるサービスは、実はまだあまり生まれていません。正確に言えば、生まれ始めているけど、まだ構想だけでワークしているサービスがほとんどありません。DeFiは出始めていますが、通常のサービスはまだまだです。
Braintrustは既存サービスの代替として既にワークし始めている先行事例だと思います。この仕組みが成り立てば、”マッチング”させて仲介手数料を取っているあらゆるweb2サービスがweb3に置き換わっていくモデルケースになるかもしれません。
もちろん、まだまだコネクターへの報酬設計やトークンの価値変動が大きすぎる問題など、課題は存在していますが、一歩一歩解決に向けて動いているので、どう進んでいくのかが楽しみです。