おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は久しぶりに自分の頭の中にあることを整理するブログ回になります。
フェアローンチの誕生理由
昨今のトークン発行はフェアローンチという手法が流行っています。特にミームコインの発行はほとんどがフェアローンチになっています。
フェアローンチとは、チーム保有、プレセール、アロケーションがなく、トークン発行と同時に総供給量の100%が市場に放出される形です。このローンチ方法はすべての参加者が同じタイミングでトークンへ投資ができるので、市場参加者に優しいローンチ方法として注目を集めています。
個人的な所感では、Pump[.]funがフェアローンチを採用したことが決定打となり、ミームコインはフェアローンチというトレンドが確立したと考えています。
ではなぜ、フェアローンチが主流になったのでしょうか。それはVCが支援しているトークンへの批判(課題)から生まれました。
以下はVCが支援するアルトコインのバリュエーションの推移を示したものです。
当然、すべてのトークンがこうなるわけではありませんが、一般的な推移はこうなることが多いです。何が起こっているのでしょうか。
まず問題の1つはTGE前の時価総額が高すぎることです。良くも悪くもweb3業界が巨大化し、VCマネーが入ってきたことによって巨大な時価総額で資金調達をするプロジェクトが増えてきました。しかし、それはTGE後のマーケットに対して、決して不可能ではないが、全てがうまくいった際の時価総額であることが多いです。
現実的に考えると、市況や競合の影響も受けるので、それ通りに時価総額が推移せず、大体はTGE後に暴落していきます。
VCやチームはこの状況を抑えるために「トークンの大部分をロック(ベスティング)」します。これはトークンの供給量を下げることで、時価総額を維持しようとする動きと、上場後すぐの利確を防ぐための投資家保護の側面、どちらもあります。
要は、高すぎる時価総額は総供給量に対する時価総額なので、TGE時に30%しか放出しなければ、なんとか維持できるのではないかという計算です。ただ、それでも維持できないことが多く、さらには大量のアンロックされたトークンが市場に放出されていくので、どんどん時価総額が下落していきます。
その供給に対して需要が追いつけば時価総額が維持されるという計算ではありますが、実態はまだ追いついていません。
これらの背景から、フェアローンチで最初から市場に100%放出すれば、高い時価総額もなく、今後のアンロックイベントもないので、フェアな投資機会が手にできるとなりました。
とはいえ、これは主にミームコインでの話で、実際のプロジェクトでは開発費用が必要ですし、チームがトークンを保有していないとプロジェクトを伸ばすインセンティブがないので、VC支援のトークンが必ずしも悪いとは思いませんし、フェアローンチが全て正しいとも思いません。
フェアローンチの弊害
さて、このような背景によって生まれたミームコインのフェアローンチ文化ですが、個人的にはその弊害もあると考えています。
それはアロケーションが設定できないことです。
フェアローンチだから当然ですが、アロケーションがないと、チームのインセンティブもエアドロップによるキャンペーンもできません。ミームコイン×フェアローンチでは、チームはローンチ後すぐにこっそりと買い戻し、運に任せてとにかくたくさんミームを作りまくり、運用はしないという形が一般的になってしまいます。
これはこれで1つの文化ではあると思いますが、1つのカルチャーを伴ったミームコインを設計することができなくなりますし、推進していくことができません。
そこでふと思いついた方法が「フェアアロケーション」です。
造語で、少し調査した限りでは同様の言葉は見つかりません。言葉の通り、アロケーションをフェアに設定する方法です。
具体的にはトークンはフェアローンチで出し、その後に公開で買い戻しを行います。株式の世界でいうTOBに近いかもしれません。
例えば、ローンチ48時間後にその時点でどんなトークン価格であったとしても、1万ドル分のトークンを買い戻し、それをチーム保有分とエアドロップなどのマーケティング用に50%ずつで利用する、などです。
重要なのはこれを事前に公開しておき、誰もが公開できる時に実施する点です。要はトークンのバイバックを別の言葉で言ってるだけなのですが、フェアローンチ後のフェアアロケーションの在り方は悪くないのかもしれないと個人的には考えています。
弊害として考えられるのは、大量に買ってしまった場合、ロックアップがない状態でチームが保有することになるので、ユーザー側が買いづらくなることです。なので、大量に買い戻すことは想定しておらず、多くて3%~5%ほどが限度ではないかと考えています。
まだ見えていない課題もありそうですが、ミームコインを中長期で運営していくと考える際の1つの選択肢にはなり得そうだと考えています。
総じて、まだ色々と検討途中のことですが、割とありなのではないかと考えています。大事なのはフェアであることで、チームにアロケーションがあること自体が悪いわけではありません。
そして、ミームコインに投機的要素があることは否定しませんが、個人的には毎日数万のミームコインがパンプして生まれては無くなっていく世界より、カルチャーから発展したミームコインの方が好きなので、カルチャーから生まれるミームコインを持続させていく方法については考えていきたいです。
以上、今日は最近考えていることのまとめでした。
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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