おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は昨日Xに投稿してかなり反響が良かった内容について、加筆修正をしつつこちらのニュースレターでも紹介させていただきます。
«目次»
1、NFTプロジェクトを事業として永続的に運営するにはどうすれば良い?
2、より重要視されるポストミント戦略
3、結局NFTプロジェクトは意味あるの?
NFTプロジェクトを事業として永続的に運営するにはどうすれば良い?
NFTプロジェクトの収益化は非常に難しいです。正確に言えば収益化し続けることが難しいです。それはビジネスモデルが破綻しているからです。
一般的なNFTプロジェクトは「NFTを販売した収益で活動、コミュニティを運営」しますが、これは調達した資金をすり減らしながら活動しているだけです。
例えば、株式譲渡による資金調達を行なったスタートアップがマネタイズせずに活動を続けていたらどうなるでしょうか。初期の資金はあるので最初に珍しい取り組みをすることや一時的にSNSで話題になることはできますが、それはあくまで一時的で終わりが見えています。
なので、調達した資金はあくまで別で存在するビジネスモデルを確立するための活動に投資する必要があります。 NFTプロジェクトもそうならないと未来がありません。
NFTを販売して獲得した収益とコミュニティを活用して新しいビジネスモデルを構築する必要があります。 IPとしての拡大(アニメ制作やグッズ制作によるマネタイズ)はこれに当たりますが、より広範囲で事業を展開していかないと一部の熱狂的な人気を誇るIPを除いて、運営コストを賄うことができません。
これが1つ目のNFTプロジェクトの未来です。
『NFTで得た収益とコミュニティで別のビジネスモデルを構築する』
2つ目は、"コミュニティとして最大限活用する"方法です。
1つ目と似ていますが、よりコミュニティとしての利用を重視するイメージです。 顧客との関係の中でカスタマーサポートからカスタマーサクセスが主流となっている中で、NFTを活用することでカスタマーコミュニティへと進化させることができます。
企業がコミュニティを持つことによって、顧客の声のリアルタイムの反映が可能になると同時に、あらゆる発表を拡散してくれる人が増えます。 なので、このコミュニティは直接的に収益を上げる存在というよりも、マーケティング・CRM・PR的に利用する存在で、企業予算の中でそこにかける費用を利用します。
SNSで広告を出すならNFTコミュニティの中でギブアウェイをしたり、有名アーティストとコラボしてNFTを発行するなどして、コミュニティを盛り上げつつ、結果的に拡散されていくという方法を取るイメージです。
Web2企業でもコミュニティがトレンドとなっているので興味を持つ企業も多いと思いますが、正直コミュニティ運営は非常に大変です。結果的に費用対効果に合わず、そもそも運営できる人材がいないことがほとんどです。
しかし、企業がアクティブなグローバルに存在する顧客コミュニティを持つことのメリットは大きく、長期的に見れば大きなコストダウンに繋がります。企業直下のコミュニティはこれからの時代におけるLTV経営やファンダム経営にとって必要不可欠な存在となっていきます。
NFTを活用すればこのコミュニティ運営コストが下がります。スマコンで設定したルールで顧客にしてほしい行動を規定できますし、顧客管理(参加や退出)も自動化できます。 これが2つ目のNFTプロジェクトの未来です。
『企業が自社サービスに付随する顧客コミュニティとして運営する』
1つ目は新規事業としてのNFTプロジェクトで、2つ目は既存事業を加速させるためのNFTプロジェクトです。 個人的には2つ目のコミュニティとしての運営方法が加速すると感じています。
つまり、NFTによる収益は期待せずにコミュニティ運営ツールとしてNFTを利用しているイメージです。 そして、さらに先の未来では、とはいえ自社だけでコミュニティ運営をし続けることも大変なので、関連する領域の企業が共同で1つのNFTコミュニティを運営するみたいになっていくと思っています。
より重要視されるポストミント戦略
この辺りの話は以前にも少し書いたのですが、NFT販売後の戦略ということで、ポストミント戦略と呼んでます。
NFTは販売前のマーケティングやコミュニティの盛り上げ方が注目されることが多く、どちらかといえば「プレミント戦略」が重要視され議論されることが多いです。
ただ当たり前ですが、NFTのミントはあくまでスタートであり、そこから何をするのかによってそのプロジェクトの価値は決まります。
上記で解説したことに近いですが、ポストミント戦略を考えていないプロジェクトはこのような落とし穴にはまりがちです。
ですが、ポストミント戦略を考えてNFTを活用した事業を考えていれば、理想的なグロースサイクルに乗ることができます。
おそらく、今後はこのポストミント戦略をしっかりと記載して、NFT以外の収益の挙げ方やサステナブルなNFTプロジェクトの運営方針までをホワイトペーパーで公開することで支持を集められるようになっていくと思います。
現在もロードマップの公開はしていますが、それはあくまでNFTプロジェクトでの活動の一環以上になっていないことが多いです。オフ会したり、ステーキングしたり、グッズ作ったりなど、です。それらが意味がないわけではありませんが、そこに参加するのはホルダーなので、ホルダー外の経済圏から収益を獲得する機会がありません。
大事なのはNFTホルダー外の経済圏からの継続的な収入です。そこがないと中のホルダーが疲弊してしまい、ジリジリとフロア価格が下がっていくことになります。個人的にCLONE Xはホルダー向けの製品を作りすぎて外貨を取り入れることに失敗したのではないかと思っています。
結局NFTプロジェクトは意味あるの?
ここまで書くとやっぱりNFTプロジェクトは大変だと感じるかもしれません。確かにそうだと思います。コスパ合わない部分もあるかもしれません。
ただ、僕自身はweb3が好きで、NFTでしか作れないプロダクトや価値は明確に存在すると思っているので、ここら辺の実験はしていきたいと思っています。
個人的には雇用や業務委託で抱える少数のコアチームと数千人のNFTホルダーによって、グローバルに通用するプロダクトが作れるようになるのではないかという仮説があるので、その辺を検証していきます。
チームの作り方を劇的に変え、スタートアップのグロース戦略の一部に組み込まれることで新しい戦略になり得る気がしてます。
ただ、やってみないとこれ以上の解像度が上がらないので近いうちに自分でもNFTプロジェクトをスタートさせてやってみたいと思います。
以上、ブログでした!
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