おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は最近感じることを書くブログ回です。
LINEの経営戦略がすごい
先日リサーチしたLINEの第3世代ブロックチェーンの「Finschia」のリサーチ記事でも最後に少し書きましたが、LINEの経営戦略すごいなと思います。
詳しくは記事をご覧いただきたいのですが、ざっくりと解説すると、
2018年からweb3へ参入
LINEはチェーンを独自開発している(Cosmos SDKを採用)
第一、第二世代はプライベートチェーンを採用
第三世代からはパブリックチェーンを採用
2023年からC向けのDappsの年になると感じ、一気に拡大していく
という感じです。
当初、LINE NFTがリリースされた時は、プライベートチェーンで外部にNFTを出庫することができなかったため、批判を浴びたこともありました。
ただ、ここに来て全ての基盤をパブリックチェーンに統合し、Finschia上の開発も自由にオープンにする動きを見せています。
これはおそらく最初から考えていた戦略なのだと思います。
web3に参入することで起こるリスクや経験すべき知見を先んじて学んだ上で、ギアをかける時は一気にかけるという戦略です。
web3プロジェクトのジレンマと長期思考
この戦略は通常、真似できません。その理由は2つあります。
そこまで資金が持たない
短期的なインセンティブの向上に動いてしまいがち
前者はわかりやすく、数年間の勉強期間をプロジェクトを稼働させながら持たせることは、資金力のある会社でなければできません。スタートアップも資金調達をしながらプロダクトを磨き続けますが、4年間も耐え抜くことはなかなか難しいものがあります。
そして、後者が僕はweb3プロジェクトにおけるジレンマだと感じています。
NFTプロジェクト然り、トークンを発行しているプロトコルやDapps然り、リアルタイムで価格が変動してしまうものを発行すると、短期的にその価格が向上する施策に捉われる恐れがあります。
コミュニティを大事にすればするほど、そのメンバーが喜ぶ施策は短期的な派手な動きになりがちです。
ただ、それは本質的なプロジェクトの成功に繋がらない場合が多いです。逆に、本質的なプロジェクトの成功を見据えた長期的な改善は短期の価格向上に繋がらずコミュニティからの反感を買う可能性もあります。
ただ、やはり大成功するには長期思考を持つ必要があります。
LINEの戦略が成功するか否かはこれから次第ですが、もうすでに圧倒的なユーザー数を持った上でパブリックチェーンに統合できるのは開発者にとって非常に魅力的な環境であり、開発者が集まればさらにチェーンの魅力が上がるので、その好循環なサイクルを作り出せる可能性は高いです。
それも、時には批判されながらも長期の戦略を見ながら、少しずつ成長させていったから今があります。
ジェフ・ベゾス作戦
整理すると、僕はweb3プロジェクトの成功には長期思考とそれに基づく経営戦略がとても大切だと思っています。ただ、それはコミュニティによって実現できない可能性もあり、そこを解決することが必要となります。
そこで、取るべき作戦は「ジェフ・ベゾス作戦」です。
有名な話ですが、Amazonは出た利益を長期投資に回し続けています。通常、上場企業になれば利益を株主に還元する必要がありますが、Amazonは利益分をギリギリまで事業の成長のための投資に回し続けています。結果、世界有数の企業へと成長しました。
当初は株主から反感もあったようですが、ジェフ・ベゾスは毎年「株主への手紙」を出し続け、長期投資の大切さ、自分がどんな世界を見ているのか、これらを訴え続けました。
結果的に、Amazonは急成長を続け、株主からしても株価が上がり続けているので、ベゾスの利益を再投資に回す経営戦略を支持するようになりました。
つまり、結果を出して経営者の舵取りを信用してもらえば良いということです。
例えば、DenDekaDenというプロジェクトがあります。1月1日にリリースされたおみくじプロジェクトですが、当初は運営者を明かさずにリリースされましたが、その後に東映とstrataが運営していることが明かされました。最近、PFPのNFTもリリースし、大成功を収めています。
他にも、Yuga Labsが出すNFTは大体成功するので、Yuga Labsの動きに対して批判する人はあまり多くありません。もちろん影響力が大きい分一定数は存在しますが、コミュニティメンバーの多くはYuga Labsの決定を支持している部分が大きいです。
このように、特にプロジェクトの初期で一定の成功を収め、運営側への信頼を溜め、長期的な舵取りに納得してもらえる関係をコミュニティと築くことが大切だと考えています。
それによって、その後の運営が圧倒的にしやすくなります。おそらく、それをプロジェクトの途中で強引にやろうとしたのがMoonbirdsなどで、投機勢は要らない的な発言をして炎上、フロア価格が下がってしまいました。
個人的にはそれは必要なプロセスなのかな?とは思っていますが、途中でやるよりも初期からそのコミュニケーションを取っていたほうが痛みが少なく済むはずです。
そんなことを考えていたここ最近でした。
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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