おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は普段のリサーチから感じたことを書いてみます。
前置き
最初に少しだけ”リサーチマガジンの中でなぜブログ回を作っているのか”について解説させてください。
毎日SubStackを更新していることから周知の事実かもしれませんが、僕は毎日web3のリサーチをしてます。
毎日更新してすごい!と言われることがありますが、実はこのリサーチ記事以外にも別の法人からリサーチ案件受けているので、表に出ない分も含めて1日3記事分くらいのリサーチをしてます。
なぜそれが可能なのかといえば、リサーチ以外の仕事を全部やめたからです。リサーチを仕事にできればずっとweb3を勉強しながら生活できるぞと思い、やってみたら意外に生活できるようになりました。お仕事いただいた方々に感謝です。
なので、最近は毎日リサーチしていて楽しい日々を送ってます。「リサーチャー(研究者)」の名に恥じないくらい一人で引きこもってカタカタ調べてます。
とはいえ、僕はまだweb3に飛び込んでそこまで日が経ってないのでまだまだweb3事業者の方の知識レベルには追いついてなくて、日々勉強してます。
で、リサーチャー(研究者)としてひたすら調べていると、こことここの知識を繋げるとこうなるかも?と思う瞬間があるので、それをブログにまとめている感じです。
このSubStackは毎日更新ですが、週5,6がリサーチ記事で、週1,2がブログという形にしてますが、そういう理由からブログ回を作ってます。(そして意外にブログ回の反応がめちゃくちゃ良いので今後も続けていきます!)
そしてブログにおける考察は現時点の知識レベルをもとに書いているので、すでに検証されていることや、反対意見もあるかもしれませんが、一意見として楽しく聞いていただけたらなと思います!
というわけで、今日はGameFiについてです。
GameFiにおけるP2Eのバブル崩壊が起こるメカニズム
少し前は「STEPN」が、最近は「TwitFi」が日本で盛り上がりました。「Play to Earn」モデルが流行し、稼げることが話題となり、多くの人が参入する事態になりました。
ただ、これはP2Eの宿命ですが、必ずチキンレースに突入し、新規ユーザーが途切れるとNFT価格や独自トークン価格が暴落する状況が発生します。何度も起こっている事態なのに、何度も繰り返されます。
なぜか。
シンプルに儲かるかもしれないから参入してる人がほとんどだと思いますが、その人たちは危険性を理解してないわけではなくて、「P2Eが暴落することはわかってるけど、逆にいえば暴落前は高騰するからそこを狙うんだ!」で参入してる人が多い気がしてます。
つまり、分かった上で参入して、今度こそ自分は勝ち組になるんだと躍起になっています。以前、Clubhouseが大流行した時にYouTubeに乗り遅れた芸能人が初期から大量に参入した状況と近いかもしれません。
なのでこれ、GameFiのP2Eモデルの高騰と暴落は法律的な規制が入らない限り永遠と続き続けるような気がしています。事実、新規トークンへの投資と暴落、新SNSへの参入と衰退など、同じような事態は永遠と繰り返され続けているからです。
特に”日本”はそのサイクルが生まれ続ける気がします。その理由はゲームに対して課金する文化が根付いているのと、儲かる話に敏感だからです。
日本はゲーム課金が世界一!?
イメージもあるかもしれませんが、日本人の課金率と課金額はヤバイです。
こちら2021年のデータですが、モバイルアプリやゲームに課金した金額を比較した表です。我らが日本がダントツ一位です。
STEPNも日本の流行り具合は異常でした。Twitterのトレンドに連日入り、テレビでも紹介されました。そしておそらく「TwitFi」はその日本の流行を見て日本むけにマーケティングをかけているサービスだと思います。
予測であり確定の情報(ソース)はないのですが、TwitFiは運営会社も運営者も情報が出てきません。且つ、公式Twitterのフォロワーや #TwitFiの最新ツイートを見ても圧倒的に日本人が多いです。なので、英語での説明や発信ですが、日本人がP2Eに熱狂し課金することを見越して作られたのではないか?と個人的には予想しています。(サービスの作りも各NFTの名称こそ違えど、ほぼSTEPNですからね。STEPNが流行った日本人には理解しやすいです)
話を戻します。
日本人のゲームへの課金額は世界一です。もちろんこれはGameFiではなく、ゲーム業界全体の話です。
その理由は「日本の投げ銭(課金)文化」にあると考察しています。そもそもゲームのクオリティが高いはあるかもしれませんが、VTuber等への投げ銭額、コミケ等の盛り上がりを見ても、日本には推しに課金する体験や文化が根付いているように思えます。
そう考えると、web3においてもGameFiの市場規模はとんでもなく大きなことになり、且つ日本から世界へ向けて勝負できるGameFiが生まれても不思議ではありません。
日本国内のユーザーからの支持を獲得できれば売り上げが見込め、その資金を用いてグローバルに戦いに挑んでいくことができれば、GameFi領域で日本が覇権を握ることも現実的な気がします。
面白いゲームを作ることも、ゲームの中に課金要素を入れることも、日本のゲーム会社は得意であるので、GameFiにも活用できるはずです。
その構造は果たして永続的か、そしてweb3か?
ただ、永続的なGameFiモデルがどこにあるのかはまだわかりません。P2Eに限界があることはすでに世界的に周知の事実であり、DigiDaigakuのような「Free to Own」やAnomuraが提唱する「Play & Earn」の考え方が生まれています。
稼げるのはおまけであり、ユーザー体験をよくするためにNFTやFTが存在しているというゲームが良いのではないかとなっています。
しかし最初に書いた通り、おそらく今後もP2Eゲームは出続けて、その度に高騰と暴落を繰り返すと思ってます。そして、そのP2Eゲームの運営者は多分儲かっちゃうんですよね。そう考えると、健全なGameFiを模索するよりも、P2Eゲーム作った方がユーザーも集まるし収益も上がっちゃう、、ということになりかねません。そうなると健全なGameFiの成長は止まってしまうかもしれません。
加えて、日本人のゲーム課金が海外のGameFiに奪われていく未来も想像できます。STEPNやTwitFiはまさにです。この辺はまだゲームユーザーではなくNFTユーザーの資金だと思いますが、今後本格的なGameFiが日本に上陸したらゲーム課金の資金が海外企業に流れることになります。それが続くと国内企業の売り上げが下がっていくので強いゲームを生み出せなくなり、さらに海外に資金が流れるようになります。
ただでさえ日本にはイノベーションが生まれておらず、賃金上昇がなく経済的な成長もしていない状況です。その中でweb3に力を入れることは良いと思います。日本にはIPもゲームもありますし、それを応援する課金の文化も存在するので。
ただ、web3の世界は国境がないNFTやFTを活用するので、海外サービスへの課金が非常にスムーズに行えてしまいます。つまり、web3で負けると国内の資金が海外に流れまくることになります。
web3がマスアダプションしていった時、日本人がどの国の「GameFi」に熱中しているかは、今後のゲーム業界、そして日本の経済成長に大きく関わる気がします。
そして、ゲームに関しては完全な分散化はかなり難しいので、おそらく既存のゲーム会社がNFTやFTを活用して収益を上げる形に落ち着きます。
この辺り、難しいところです。結局ユーザーが楽しめればそれで良いかもしれませんが、web3の分散化の思想とは異なる進化です。とは言っても、分散化でつまらないゲームよりも圧倒的な天才が作った面白いゲームの方がいいですよね、、。むずい。
まだ答えはわかりませんが、GameFiは可能性はあるものの、健全に成長するのか、その中で日本人と日本企業はどうなるのか、果たしてGameFiとweb3との文脈はどこに落ち着くのかについて、考えてみました。
今後もGameFiについても引き続き注目してリサーチしていきます!
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