【ビットコイン】すべての原点だが、ビットコイン最大の価値に多くの人は気づいていない。
今日は「ビットコイン・スタンダード」と言う本を読み、そこに書かれていた内容について紹介します。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
「BitCoin」自体のリサーチは既に非常に多くあるので、その辺りの詳細説明は割愛します。今日は「ビットコイン・スタンダード」と言う本を読み、そこに書かれていた内容について紹介します。
«目次»
1、BitCoinとは?
- 歴史
- 主な課題と解決策
- ハードフォークの理由
2、ビットコイン最大の価値を多くの人は気づいていない
- 通貨の価値は信用にある
- 通貨のインフレ
- イージーマネーとハードマネー
- ここまでを整理
- ビットコインは金に取って代わる!?
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BitCoinとは?
少しだけビットコインについてもおさらいします。
分散型で国境の制限や誰か特定の団体や人物の思想に影響を受けないデジタル上に存在する通貨。
約10分に一回、トランザクションをブロックに刻むマイニングが行われる。
コンセンサスアルゴリズムはPoWを採用。
発行条件が定まっており、2,100万BTCで発行が止まる予定。2140年頃だと言われている。
約4年に一度、”半減期”が存在し、マイニング報酬として支払われるビットコインが半分となる(支払われるビットコインが半分になるが、ビットコインそのものの価値は上がっているので、法定通貨換算した際の価値は下がらないことが多い)
■歴史
2008年11月1日、サトシ・ナカモトと言う仮名で知られるソフトウェアエンジニアが暗号学愛好者が購読するメーリングリストに「完全にP2Pかつ信頼できる第三者機関の仲介が不要な新しい電子キャッシュシステム」を開発したとメール。
興味を持った有志で開発が開始される
2009年10月5日、オンライン取引所でビットコインが販売され、初めて経済的な価値がつく。
2010年5月22日、ピザ2枚を1万ビットコインで支払う人が現れ、初めて通貨として機能する。
2017年8月1日、スケーラビリティ問題に端を発し、ハードフォークが実行される。ビットコインとビットコインキャッシュに分裂。
2022年現在。
■主な課題と解決策
ざっくりですが、ビットコインで挙げられる課題と解決策を羅列します。
スケーラビリティ問題
取引量が多くなると、その承認が遅くなる。通貨として利用されることを想定すると、決済の承認に数時間かかっていたらとても使えない。
解決策1:ブロックサイズを大きくする(2X)
解決策2:取引データを圧縮し、ブロックサイズはそのままだけど入るデータ数を多くする(セグウィット)
解決策3:取引数を絞り込む(ライトニングネットワークなど)
ボラティリティが激しい
解決策1:ステーブルコイン(CBDC、USDCなど)
消費電力が大きい
解決策1:独自の承認プロセスを用意(PoS等)
意思決定に時間がかかる
解決策1:限られたメンバーだけでチェーンを運用する(コンソーシアムチェーン、リップルなど)
■ハードフォークの理由
2017年にハードフォーク(チェーンが分裂)し、ビットコインとビットコインキャッシュに分かれましたが、その背景を解説します。
原因はビットコインのスケーラビリティ問題に対しての解決策の違い。
中国をはじめとするマイニング業者派閥は「①ブロックサイズを大きくする」を主張し、古くから開発に携わる古株ビットコインコミュニティメンバーは「②取引を圧縮する」を主張し、意見が対立しました。
論点の一つは「ブロックサイズを大きくする」場合に起こる懸念にありました。
ブロックサイズを大きくすると、マイニングに必要なマシンパワーが上がり、大規模なマイニング業者でないとマイニングに勝てなくなる可能性がありました
その場合、中国を中心とした大手マイニング業者によって、ビットコインのマイニングが独占され、分散性が損なわれる危険があります。
そこを懸念したビットコインコミュニティーと自分たちに有利な仕組みにしたいマイニング業者で論争が起きました。
結局、「ブロックサイズも大きくし、取引データも圧縮する」と言うどちらもの意見を取り入れたアップデートが採択されました。
しかし、その決定に納得いかない一部のマイニング業者が突如として独立し、ビットコインキャッシュの設立を宣言し、ハードフォークが行われました。
ただ、現在ビットコインとビットコインキャッシュの価格差には大きな乖離が生まれており、ビットコインと対立となる存在にはなれませんでした。
以上、細かい用語解説は省きましたが、ビットコインの概要となります。
そして、ここからが今日の本題で「ビットコインは、金に取って代わるインフレなき資産となる!?」と言う話をします。
ビットコイン最大の価値を多くの人は気づいていない
ここからの話は「ビットコイン・スタンダード」を読んだ解説となります。かなり長い本なので、その中の一部「ビットコインがインフレなき資産となる、だからすごいんだ!」の話が面白かったので、そこを解説します。それ以外の話もかなり面白かったので、ぜひ読んでみてください!
■通貨の価値は信用にある
色々なところで聞く話かもしれませんが、通貨の価値は信用にあります。
信用というのは、みんなが”それ(通貨)”に価値があると信じているか否かということです。
例えば、1万円札を使えば1万円分の商品が買えます。それは全員が1万円の価値を信じているからです。
では、アマゾンの奥地にある部族で1万円札で食べ物を交換できるでしょうか?何もできませんね。1万円札は変わってないのに、交換できる場所とできない場所がある。これは信用されているか否かの違いです。
■通貨のインフレ
古来より人は、この”通貨”という仕組みを活用して取引を行い生活をしていました。
時には貝殻が通貨となり、時には金が通貨となり、現在は紙幣や硬貨です。
通貨には”インフレ”という概念があります。簡単に言えば、通貨の価値が下がることをインフレと呼びます。
例えば、昔の日本なら300円でお米1kgが買えていたけど、今なら2,000出さないと買えないんだよみたいな話を聞いたことありませんか?最近は円安も身近な話題で、通貨の価値が安くなる(100円で買えていたものが150円出さないといけなくなる)ことに馴染みがあるかもしれません。
なぜインフレが起きるのかといえば、(国家間の金利政策などは一旦置いといて)流通量と希少性で説明できます。
単純に、紙幣をすればするほど紙幣の希少性が下がるので価値が下がるというわけです。限定10個しかなかった商品をプラスで1万個作ったらその商品の希少性が下がるので価格は下がりますよね。それと同じです。
そして、この流通量のコントロールは国家が自由にできてしまうので、国家は次々と紙幣を刷ります。その結果、どんどん紙幣の価値が下落していきます。
■イージーマネーとハードマネー
通貨はインフレしやすいorしにくいで分類でき、インフレしやすい通貨をイージーマネーと呼び、インフレしにくい通貨をハードマネーと呼びます。
上で解説した通り、インフレのしやすさは「流通量」と「希少性」で決まります。ただ、希少性は流通量で決まるので、インフレのしやすさは「流通量(どれだけ流通させたか)」で決まります。
つまり、インフレしやすい通貨は「流通させやすい=生産しやすい通貨(貝殻や紙幣)」であり、インフレしにくい通貨は「流通させにくい=生産しづらい通貨(金)」ということです。(流通しやすいか否かを示す指標としてストックフロー比率という単語が使われますが、その辺りは本をご覧ください。)
■ここまでを整理
通貨は信用で価値が決まる。
通貨はインフレし、価値が下がることがある。
インフレするか否かは流通量で決まる。流通すれば希少性が下がり価値が減る。
インフレしやすい通貨は流通させやすい生産が容易な通貨でイージーマネーと呼ばれる。貝殻や紙幣はイージーマネーに当たる。
インフレしづらい通貨は生産が困難な通貨でハードマネーと呼ばれる。金がそれに当たる。
■ビットコインは金に取って代わる!?
イージーマネーを使う国家は歴史上必ずインフレが進み、通貨価値が暴落する。
最も通貨の価値が安定し、グローバルな取引が安定した時代(為替や金融政策等を気にしなくて良い)は、「金本位制」の時代。
通貨の価値が変動や暴落する心配が薄いので、安心して取引ができる。
イージーマネーが主体の時代(現代も)は、実態のない金融取引が活発になる。為替トレードなど、金融の仕組みを使った仕事を指す。
ビットコインは金に取って代わる、これからの時代の最強の通貨(資産)となる可能性を秘めている。
その理由は、誰にも改竄できない、誰の影響も受けないという分散化もあるが、何よりも「発行上限が決まっている」ことにある。
金でさえ生産が困難とはいえ、多少のインフレは存在する。しかし、ビットコインは上限が明確に決まっているので、論理上インフレは存在しない。
だからこそ、これからの時代は「金の代わりにビットコインを通貨の信用の裏付けとするビットコイン本位制」が来るかもしれない。
ビットコイン自体を通貨でやり取りするのはスケーラビリティ問題もあるので、ビットコインは金の位置に当たり、ビットコインの価値に紐づいた別のコイン(トークン)を作って、それでやり取りするのが現実的。
以上、ざっくりとですが、「ビットコイン・スタンダード」に書かれた”ビットコインの本当の価値”を解説してきました。
発行上限が決まっており、どこの思想にも国家にも属さない、デジタルゴールドが出来上がると言われています。だからこそビットコインはすごいと言われているんですね。
国家の規制や、人間の思惑もあるので、これがどこまで理論通りに行くのかわかりませんが、とても勉強になる視点でした。同時に、web3の業界はもっと本質的な価値や長期目線を持って勉強しないと、目先でバズったものに囚われてしまう危険性も感じました。バズりが悪いわけではありませんが、そこに実態はないバブルなだけかもしれないので。
本の内容も、新しい視点も、とても勉強に、そして刺激になったリサーチでした!
参考書籍:ビットコインスタンダード
(※リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。)
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ご覧いただきありがとうございました!
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