こんにちは。
web3 researcherの三井です。
今日は世界的に有名なNFTプロジェクトの一つ「Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)」についてのリサーチ結果をまとめていきます。
«目次»
BAYCとは?
なぜここまで人気なのか?
成功するNFTプロジェクトの作り方
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BAYCとは?
BAYCは「Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)」の略称で、フロリダ州マイアミに拠点を置くYuga Labsが発行する猿をモチーフにしたNFTコレクションです。
2021年4月、パーツを自動的に組み合わせて生成される”ジェネラティブ”と呼ばれるタイプのNFTでEthereum上で10,000点限定で発行されました。
https://opensea.io/collection/boredapeyachtclub
当初は0.08ETH(発行時のレートで176ドル)だったNFTは、現在では最低価格が約1,000万円まで高騰している大人気のプロジェクトとなりました。
また、2つの派生プロジェクトも誕生しており、どちらも大人気のNFTプロジェクトとなっています。
■Mutant Ape Yacht Club(MAYC)
BAYCのNFT所有者にMutant Serumと呼ばれる突然変異を起こすアイテムがエアドロップされ、所有する猿のNFTをミュータントにすることができました。また、新たに10,000点のMAYCのNFTもオークションにかけられました。
https://opensea.io/MutantApeYachtClub?tab=created
■Bored Ape Kennel Club(BAKC)
このプロジェクトでは、2次販売の手数料が期間限定で2.5%のロイヤリティが発生し、それが動物保護団体に寄付されました。
https://opensea.io/collection/bored-ape-kennel-club
また、独自コインである「ApeCoin」の発行や、メタバースプロジェクトである「Otherside」の開発など、単なるNFTプロジェクトではなく、その幅を広げつつあります。
なぜここまで人気なのか?
ここからはBAYCの人気の理由について解説していきます。
■クローズドなコミュニティーと有名人の購入
BAYCはコミュニティー構築に非常に力を入れています。BAYCホルダー限定のDiscordがあったり、限定グッズの購入や限定オフ会への参加が可能になるなど、多くの特典があります。このクローズドなコミュニティーを丁寧に構築していることが人気の理由の一つです。
そして、その人気(高騰)に拍車をかけたのが有名人の購入です。日本でも「関口メンディー(EXILE)」さん、「松浦勝人(エイベックスCEO)」さんなどが購入したことをTwitterで表明しており、世界的スターの「エミネム(ラッパー・アーティスト)」、「ジャスティン・ビーバー(アーティスト)」、「パリス・ヒルトン(アーティスト)」、「ネイマール(サッカー選手)」なども購入しています。
この有名人の購入によって、BAYCホルダー限定のクローズドなコミュニティーの価値が上がり、結果としてNFTの価値が高騰していくようになりました。
このように、BAYCのNFTを会員証として機能させたことが成功要因の一つと言えます。
■明確なコンセプト設計
個人的にここはかなり大きな成功要因だと分析しています。
BAYCは「類人猿向け沼地クラブ(a swamp club for apes)」をコンセプトに掲げており、みんなで類人猿(Ape)になって一緒に楽しもうという思いで作られています。ちなみに沼地とは、沼にハマってどっぷりつかることを意味するスラングです。
つまり、BAYCとは「NFT大好きな奴ら!一緒に沼にハマってどっぷり浸かろうぜ!」という裏メッセージを込めたプロジェクトとも言えます。そのコンセプト設計があるので、そこに惹かれた人たちが世界中から集まり、クローズドなコミュニティーの価値も向上していったわけですね。
■商用利用OK
BAYCのNFTホルダーであれば勝手にグッズを作るなどの商用利用をOKとしています。これによって、ファングッズが盛んに作成され、購入理由の増加やクローズドコミュニティーの活性化に繋がっています。
■常に進化し続けるプロジェクト
一過性の話題に留まらず、その人気を向上させ続けるために、BAYCではかなり多くの仕掛けをし続けています。
派生プロジェクトのリリース
コミュニティー限定イベントや特典
ApeCoinの発行(厳密には、ApeCoinの発行元はBAYC運営会社とは異なりますが、結びつきが強いコインとなっています。)
メタバースプロジェクトの発表、開発
など、です。これを2年経たない間に次々とリリースし続ける本気さが、今の人気に繋がっていると言えます。初速が良い話題のプロジェクトでもそれを維持し続けることは至難の技です。BAYCは単なるNFTプロジェクトではなく、NFTを切り口にしたコミュニティービジネスと言えるかもしれません。
成功するNFTプロジェクトの作り方
さて、今更ながら”BAYC”についてリサーチしました。ここから感じた”成功するNFTプロジェクトの作り方”を個人的に考察してみました。
まずそもそも”NFTとは何か”から入りますが、NFTの価値の一つは所属の証明にあります。購入したNFTをSNSのアイコンにするのは、自分がその思想に共感していて、そのコミュニティーに所属しているよ!ということを表明したいからです。
NFTは購入という行動したことが誰の目にも明らかなので、その表明に根拠をつけられるんですね。だからBAYCホルダーはNFT猛者であることをアピールするために、SNSのアイコンにします。
つまり、NFTを売るには「所属を表明したいコミュニティー(思想)を作り上げること」が答えになりそうです。(NBAのNFTなど、既に有名なものをNFT化したプロジェクトはここでは除外して考えています。0からNFTプロジェクトを立ち上げていくことを想定しています。)
BAYCはそれを綺麗に作り上げていきました。
コンセプト設計でNFT好きな人の”待ち合わせ場所”として機能した。
有名人の購入で、自分もセレブの仲間入りという優越感が働いた。
商用利用OKや限定エアドロやコイン発行によって、投機的な購入理由も後押しした。
限定イベントやキャンペーンなど、注目されている&誰でも入れない場所に所属している優越感が感じられるように、SNSシェアされるように映えるけど内部向けの施策を数多く実施した。(NFTホルダーがSNSでシェアすることができる。)
高級ブランドの作り方の解説で「ブランド=認知度-普及度」という話を聞いたことがあります。誰でも知ってるけど、買えない状態を作り出すことでブランド価値が上がっていく。ルイヴィトンなど高級ブランドが一等地に店舗を構える理由は認知度を上げるため。
BAYCはまさにここに当てはまっています。誰でも知ってる猿のNFT。でも高すぎて買えない。映えるコミュニティー内部向け施策をガンガンやることで、やったことだけがSNSを通じてみんなに広がっていく。結果、認知度だけが向上していくことになります。なので、認知度-普及度の差分がさらに広がり、価値が高まっていく。
少し話が広がりましたが、結論です。
BAYCから学ぶ成功するNFTプロジェクトの作り方はこちらです。
コンセプト設計、そしてそれに沿ったクリエイティブの設計で、特定の層の待ち合わせ場所として機能するNFTホルダーコミュニティーを作る。
投機的価値、優越感など、NFTホルダー限定コミュニティーの価値を色々な観点で追加していく。
認知度が向上するように、外にシェアされ話題になることを見越した、内部向けのイベントや施策に注力する。
関連プロジェクトの発表や、独自通貨、メタバース、アニメ化など、NFTプロジェクトの枠に留まらず、進化させていく。
誰でも0から立ち上げて世界的に有名にしていける可能性があるので、NFTの世界は楽しいし、ワクワクしますね。個人的にもそういったNFTプロジェクトを自分でも作れるように頑張っていきます。
というわけで、今日はBAYCから学ぶ成功するNFTプロジェクトの作り方でした。記事が面白いなと思った方はぜひ「アドレス登録」と「SNSでシェア」をしていただけると嬉しいです。引き続きweb3をリサーチしていきます。
おわり。
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