【Aztec Network】プライバシーファーストのL2 zkロールアップ / zkSNARKを利用しTxトランザクションの正当性を証明しつつ内容を秘匿 / トークンセールを実施 / @aztecnetwork
zkロールアップの本命となるか
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Aztec Network」についてリサーチしました。
Aztec Networkとは?
技術詳細①:トランザクションフロー
技術詳細②:ステート管理
ユースケース
トークン情報
zkロールアップの本命となるか
TL;DR
Aztec Networkは、トランザクション内容を秘匿しつつ正当性をzkSNARKで担保する「プライバシーファーストのL2 zkロールアップ」で、PXEでのクライアントサイド実行を起点に設計されている。
ユーザートランザクションはPXE→Sequencer→AVM→Kernel/Rollup/Squisher回路→Ethereum確定という流れで処理され、Public State(アカウントモデル)とPrivate State(Note/Nullifier)をZK証明で橋渡しする。
DeFi/NFT/ID/投票/OTCなど多様な「プライバシー×ユースケース」を狙うプロジェクトが存在。
Aztec Networkとは?
AztecはプライバシーファーストのL2 zkロールアップです。
zkSNARKによる暗号学的証明を用いることで、トランザクションの正当性を証明しつつ内容を秘匿し、ユーザーが公開する情報と非公開に保つ情報を柔軟に選択できるよう設計されています。具体的には、送金額や取引相手、スマートコントラクトの内部状態などを暗号化して隠蔽しつつ、ネットワーク全体の整合性はzkSNARKによって保証します。
このアプローチにより、これまでプライバシー保護のため機能が制限されていたMoneroやZcashのようなプライバシー通貨と異なり、匿名性と高度なスマートコントラクト機能の両立を目指しています。
技術的な詳細に入る前に、まずは変遷から説明します。
◼️変遷
Aztecプロジェクトは2018年に設立され、最初の試みであるAztec 1ではプライベート送金(暗号化トランザクション)の実証を行いました。当時の実装は非常に低速かつガスコストも高価でしたが、Ethereum上で機密送金を成立させた先駆的事例でした。
その後2021年にリリースしたAztec Connectは、プライバシー機能を単なる送金からDeFi領域へ拡張しました。Aztec ConnectはユーザーにzkDAIやzkETHといったプライベート資産を提供し、これをブリッジ経由でAaveやUniswapに預けることで「Ethereumの取引を丸ごと匿名化する」体験を実現しました。
100以上のDAppが接続し10万ユーザー超が利用する成功を収めた一方、一般的なスマートコントラクトを展開できない制約や中央集権的なSequencer依存といった限界もあり、2023年に新規利用停止されました。
このタイミングでAztecチームは「次世代暗号化ロールアップ」構想にシフトし、2023年後半から2024年にかけて基盤技術の開発が加速しました。2023年には新ロールアップのスペック公開が行われ、2024年にはテストネット準備のための内部デブネット実装が進められました。
そして2025年8月のDevnet公開、9月のProvernet展開を経て、10月に公式ロードマップが発表され現在に至ります。2025年末の現時点では「Ignition」と呼ばれる世界中のオペレーターが参加する分散型ネットワークの検証が行われています。
テストネットでは既にパーミッションレスのSequencerノード&Proverノードが稼働しており、ブロック生成や証明作成が安定的に行えることを確認しています。
このIgnitionフェーズを経て、次なる段階は「Mainnet Alpha」です。2026年前半に予定されるメインネット初期版では、トークンステーキングによる経済的セキュリティを適用しつつも、必要に応じて段階的に機能を開放していくと予想されます。
◼️資金調達
2018年の創業以来、Paradigmやa16zなど著名VCやEthereum共同創設者のVitalik氏からも出資を受け、累計調達額は1.7億ドル以上に達します。
この潤沢な資金により、ゼロ知識証明のトップ研究者やエンジニアを集めて開発を加速させてきました。技術面ではEthereum財団や他プロジェクトとの連携もあり、ZK領域におけるエコシステムのハブ的存在ともなっています。
後述しますが、2025年11月と12月にはトークンセールを行い、更なる資金調達を行いました。
技術詳細①:トランザクションフロー
では、技術的な説明に入ります。ただ、あまりに固有の単語が多いのと、前提知識が必要な内容も多いです。なるべくわかりやすく説明していきますが、より詳細を理解したい方はぜひドキュメントをご覧ください。また、コメントやDMで質問いただければ解説します。
◼️基本構成
まずは全体像から説明します。
全体像を雑に言えば、ユーザーのトランザクションはまず秘密環境下(PXEと表現)で実行され、そのzk証明がパブリックネットワークに届きます。ここでAztec側のノードが検証、ロールアップしてL1であるイーサリアムにコミットします。
ユーザーのトランザクションをzkで圧縮し、その証明をさらに検証・圧縮するので、Aztecはzk zk Rollupとも呼ばれます。
では、もう少し詳しく説明していきます。上記図の左から、一連のトランザクションフローに沿って説明していきます。
◼️PXE(Private Execution Environment)
まずAztecがユニークなのは、トランザクションの一部をクライアントサイドで実行するアーキテクチャを採用している点です。
Keep reading with a 7-day free trial
Subscribe to web3 Research JAPAN to keep reading this post and get 7 days of free access to the full post archives.





