おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
先週から始まりましたが、土日のお昼はAIによるレポートを更新します。
普段は最新のトレンドや注目プロジェクトを紹介していますが、ここでは過去からの歴史を振り返る系の記事を投稿していきます。レビューはしていますが、一部内容に間違いがあるかもしれませんので、ご了承ください。
それではどうぞ!
第1章:前編のおさらい
第2章:ステーブルコイン規制の現状と各国のスタンス
第3章:CBDC(中央銀行デジタル通貨)との関係
第4章:Terraショック以後のアルゴリズム型ステーブルコイン
第5章:RWA(Real World Assets)との連携と拡張的ユースケース
第6章:新興ステーブルコインの取り組み
第7章:ステーブルコインがもたらす金融変革とリスク
第8章:まとめと今後の展望
第1章:前編のおさらい
1-1. ステーブルコインの基本構造
前編では、ステーブルコインの種類(法定通貨担保型・暗号資産担保型・アルゴリズム型など)や、主なプロジェクト(USDT、USDC、DAI、FRAXなど)の仕組みを整理しました。価格安定を実現するためのアプローチは多様ですが、いずれも「市場の信頼を維持する」ことが最重要であり、ペッグ崩壊や規制対応など常に課題が存在するという点を確認しました。
1-2. 後編のフォーカスポイント
本記事(後編)では、ステーブルコインを取り巻くグローバル規制の動向や、中央銀行デジタル通貨(CBDC)との関係をはじめ、Terraショック以後のアルゴリズム型ステーブルコインがどのように生き残りと進化を図っているかを探ります。さらに、RWA(実世界資産)や新興プロジェクト(Ethena、Resolv、Spot/Ampleforthなど)の未来像にも迫り、ステーブルコインがもたらす金融革新と潜在的リスクを総合的に論じます。
第2章:ステーブルコイン規制の現状と各国のスタンス
2-1. アメリカ合衆国
(1) 規制当局と法整備の動向
SEC(証券取引委員会) vs. CFTC(商品先物取引委員会)
ステーブルコインは「有価証券」なのか、「コモディティ」なのか、あるいは「送金手段」なのか。SEC/CFTCは長年この問題で境界争いを続けています。特に、USDCなどの発行体が銀行ライセンス取得を目指す動きもあり、銀行商品なのか証券なのかをめぐる議論は結論が出ていないのが現状です。議会におけるステーブルコイン規制法案
2022〜2023年にかけて、ステーブルコイン発行体に対し銀行ライセンスの取得や連邦準備制度(FRB)の監督下に置くことを求める法案が検討されました。こうした法制化が進めば、法定通貨担保型ステーブルコイン(USDT、USDCなど)はより明確なルールの下で運営される一方、イノベーションが阻害されるリスクや小規模発行体の淘汰が懸念されます。
(2) NYDFS(ニューヨーク金融サービス局)の役割
NYDFS BitLicense
ニューヨーク州は暗号資産関連の事業者ライセンス(BitLicense)を早期に導入しました。BUSDやPAXなどはPaxos社がBitLicenseを取得し運営しており、「規制をクリアしたステーブルコイン」として認知度を高めています。当局との衝突も
2023年にはBinanceとPaxosの連携が問題視され、NYDFSがBUSD新規発行を停止する命令を出すなど、中央管理型ステーブルコインは当局の一存で大きく動向が変わることを示唆する事例がありました。
2-2. 欧州連合(EU)とMiCA規則
(1) MiCA(Markets in Crypto-Assets)とは
2023年4月に正式合意したMiCAは、EU圏内で暗号資産やステーブルコインを取り扱う事業者に対し包括的な規制フレームワークを整備する法律です。
EMT (E-money Tokens) と ART (Asset-Referenced Tokens) という分類でステーブルコインを捉えており、発行量や取引ボリュームによって追加的な規制が課されます。
(2) 主なポイント
準備金の要件
ステーブルコイン発行体は十分な「分別管理された準備金」を保持しなければならない。しかも毎日その保有額を確認し、第三者監査レポートを定期的に公開する義務がある。エクセシブユース(使用過多)防止
単一ステーブルコインがEU経済の支払いで過度に使われると金融安定リスクが高まるため、一定規模を超えたステーブルコインの供給制限やユーザー上限を導入する可能性も議論されている。
2-3. アジア・新興国の事例
(1) 中国:デジタル人民元と民間ステーブルコインの扱い
中国はデジタル人民元(e-CNY)の発行を最優先しており、民間企業が発行するドルベースのステーブルコインには基本的に消極的です。
暗号資産取引が事実上禁止されているため、中国国内でのUSDT/USDCの公式流通は制限されています。一方、非公式な使用は相当に広がっているとも言われるが、データ上は把握困難となっています。
(2) シンガポール:MASのリスク重視
シンガポール金融管理局(MAS)はステーブルコイン規制案を2022〜23年にかけて公表。
1SGD(シンガポールドル)にペッグする形態を含め、ライセンス下での厳格な準備金管理と投資制限を求める方針。
一方で、グローバルWeb3ハブとして海外プロジェクトも呼び込みたい狙いがあり、バランスを取りながらルール整備を進めている段階。
(3) アフリカ・中南米:事実上のドル代替
インフレや通貨不安の激しい国(例:アルゼンチン、ベネズエラなど)では、USDTなどのステーブルコインが国民にとってのドル替わりとして普及。
公式な規制フレームワークは整備されていないが、ローカルOTC取引所やP2Pプラットフォームを通じて利用が拡大している。
国家としては通貨管理の観点で懸念があるものの、締め付けが強まればより地下経済化する恐れもあり、慎重に動向を見守っている例が多い。
第3章:CBDC(中央銀行デジタル通貨)との関係
3-1. CBDCとは何か
CBDC(Central Bank Digital Currency)は各国の中央銀行が直接発行・管理するデジタル通貨を指します。
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